「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、海外に投資する際に、「リスク」とともに注意したい「スケジュール」について考えます。

  • 外国資産への投資は国内よりリスクが増え、「スケジュール」の考慮も必要となる
  • 外国資産を対象にした投資信託は、購入・売却時の基準価額が分かるのが翌々営業日
  • 外国資産は換金に時間がかかり、外国市場の休業日にも影響を受ける

「節分天井彼岸底」とはいきませんでしたね。前回の記事が公開された2月15日に日経平均株価は3万円を超え、今も3万円前後の株価を保っています。

緊急事態宣言も終盤を迎え、新型コロナウイルスに対するワクチンの接種も始まったようです。そして、オリンピックも開催まで半年を切りましたが、果たして、この後、株式をはじめとする金融市場は、どのような展開となるのでしょうか?

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さて、これまで筆者は「日本株式」よりも「外国株式」への投資を勧める旨を書いてきました。本稿では外国株式を含めた、外国資産を対象にした投資信託の購入に当たり、気に留めておきたいことを書いてみたいと思います。

外国資産を対象にした投資信託の購入というのは、具体的には日本以外の国の株式や債券、リート、そして、それらを組み込んでいる投資信託に投資する場合のお話です。

そもそも、日本であろうとなかろうと、投資にはリスクが付きものです。
投資は「未知の未来への投資」ですから。
が、さらに外国資産ともなると、さらにリスクが増えます。

「リスクが増える」、これは揺るぎのない事実なのです。そして、この「リスクが増える」という揺るぎのない事実をもって「心配のタネが増える」と受け止めるのか、「リターンを得るチャンスが増える」と思うかは、お一人おひとりの考え方次第です。

本稿でお伝えする、外国資産を対象にした投資信託の購入に当たり気に留めておきたいことは、実はリスクではありません。「スケジュール」です。
このスケジュールについては、リスクのように受け止め方次第ではなく、むしろ誰にとってもわずらわしいことかもしれません。

トラリピインタビュー

購入・売却時の基準価額が分かるのは翌々営業日

スケジュール調整
外国資産を対象にした投資信託の売買で考慮すべき「スケジュール」とは?

そもそも投資信託は「ブラインド方式」といって、購入時の基準価額が分からないまま購入することになります。
購入時の基準価額が分かるのは、早くて購入当日の夜か、購入翌日の午前中になります。

これが、外国資産を対象にした投資信託の場合ですと、投資信託の購入という取引の成立、つまり約定するのが翌営業日になります。したがって、購入時の基準価額が分かるのが、購入手続きをした日の翌々営業日になります。

これは保有している投資信託を売却した時も同じです。
外国資産を対象にした投資信託は、売却手続きをした日の翌日に取引が約定しますので、いくらの基準価額で売却できたのかも翌々営業日に分かるのです。
翌々営業日が連休の初日だったりすると、購入時もしくは売却時の基準価額を知ることができるのは、ずっと先になってしまいますね。

外国資産の投資信託は換金に日数がかかる

投資信託の売却手続きを行い現金化する、すなわち投資信託の換金には日数を要するのは、投資信託の経験がある方ならご存知だと思います。外国資産を対象にした投資信託の場合は、特に日数を要する場合が多いようです。中には「換金は7営業日後」という投資信託もあります。

例えば、ある外国資産を対象にした投資信託を、3月1日に売却手続きを行ったとしましょう。「いくらの基準価額で売却できたのか」が分かるのは、3月3日のことです。そして、換金することができるのは3月9日です。
2021年の3月1日から3月9日の間には、祝日や連休、年末年始休暇などはありません。それでも、換金には9日間を要するのです。

もし投資信託の換金代金の使い道が決まっているのでしたら、スケジュールの慎重な調整が必要になります。

金融機関の営業日でも買えない・売れないことも

土・日曜日や祝日、年末年始の休暇中などは、金融機関がお休みですから、投資信託の購入や売却の手続きを行うことができないのは、皆さんもご存知だと思います。ネット証券では購入や売却の手続きができたとしても、実際に受け付けてくれるのは、やはり金融機関が営業する平日です。

外国資産を対象にした投資信託の場合、日本が平日で金融機関の営業日だとしても、現地の取引所(市場)が休業日ですと、投資信託の購入や売却の、それぞれの手続きを受け付けできないことがあります。

たとえば2021年の場合、もう過ぎてしまったから関係ありませんが、2月の東京証券取引所と上海証券取引所の休業日は以下のような具合です。

  • 6日 土曜日
  • 7日 日曜日
  • 11日 建国記念の日(日本)、春節(中国)
  • 12日 春節(中国)
  • 13日 土曜日
  • 14日 日曜日
  • 15日 春節(中国)
  • 16日 春節(中国)
  • 17日 春節(中国)
  • 20日 土曜日
  • 21日 日曜日
  • 23日 天皇誕生日(日本)
  • 27日 土曜日
  • 28日 日曜日

ただでさえ短い2月は、日本も彼の地も同じなのですが、お互い競い合うように、取引所の休業日があります。28日のうち半分の14日が、どちらかが休業日でした。
中国の株式などを対象にした投資信託は、2月10日に売却の手続きを行えなかった場合、次に手続きできるのは、8日後の2月18日になってしまいます。そして、換金代金を受け取ることができるのが、仮に7営業日後だとすると、何と3月2日と、月をまたいでしまいます。

春節
2021年の春節では、上海証券取引所は5営業日が休業となった

外国資産を対象にした投資信託の場合、担当者やコールセンターを介した証券会社では、購入と売却の手続きを行うのに、スケジュールの調整を慎重に行わないと、たいへんなことになってしまいそうですね。平日の昼間は、仕事や家事などでお忙しいでしょう。
やはり、投資信託の購入や売却の手続きのタイミングを逸することがないように、スケジュールを調整する手間が必要になります。

まとめに代えて

もし、外国資産を対象にした投資信託の購入をご検討なさるのでしたら、ネット証券が有利かもしれません。
ネット証券でも、購入や売却の手続きを受け付けてくれるのは金融機関の営業日に限られるかもしれません。しかし、ネット証券の場合、たとえ金融機関が開いていない休業日や深夜であっても、購入や売却の「入力」は可能です。夜のうちに入力しておけば、たとえ平日の昼間が忙しくとも、購入や売却のタイミングを逸することはなさそうです。

平日の昼間が忙しくて、金融機関へ行ったり電話をかけたりする時間を取りづらい方は、わずらわしいスケジュールの調整を少しでも容易にするために、ネット証券の利用を検討してみてはいかがでしょうか?
ネット証券なら、コストも安いですし。

(次回は3月15日を予定しています)

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