病気やケガで療養をしたり、万が一のことが起こったりした場合、公的な制度を活用できるケースがあります。その中でも、業務上の理由で災害に巻き込まれた場合は、労災保険の出番かもしれません。

  • 労災保険は業務災害・通勤災害での病気やケガで4日以上の療養が必要な場合に給付
  • 事業主以外の第三者が原因の労災は「第三者行為災害」。通常の労災保険とは異なる
  • 労災保険の給付と損害賠償の両方を受ける場合、金額を調整される場合がある

※ここでは各制度の概要を説明しています。詳細は必ず各健康保険組合・健康保険協会や日本年金機構などのウェブサイトでご確認ください。

仕事中や通勤中の病気・ケガは労災の対象

会社にお勤めの方で、業務上の理由や通勤により、病気やケガをした場合、労災保険で給付を受けられる可能性があります。

労災保険とは、仕事を原因とする「業務災害」や、通勤を原因とする「通勤災害」に巻き込まれた労働者へ補償を行う、社会保険の一種です。業務災害あるいは通勤災害による病気やケガで、4日以上の療養などを必要とする場合に、給付を受けられます。この給付対象には、正社員だけでなく、パート・アルバイトとしてお勤めの方も含まれます。

労災保険給付の種類には大きく、病気やケガをしたときのもの・障害が残ったときのもの・死亡したときのものの3種類があります。給付金額は障害の程度、遺族の数などで変動するものもあります。

【図表】労災保険給付の種類と概要
種類 概要
療養(補償)等
給付
労災保険指定医療機関等の場合は自己負担なしで治療あるいは薬剤の支給が受けられる現物給付、指定外の医療機関の場合はかかった費用の現金支給を受けられる。
休業(補償)等
給付
業務災害または通勤災害による傷病の療養で、労働ができず賃金が受けられない日が4日以上になった場合、1日につき給付基礎日額の60%を受けられる。また、休業(補償)給付を受けているときに、1日につき給付基礎日額の80%を休業特別支給金として受けられる。
障害(補償)等
給付
業務災害または通勤災害による傷病が治癒後、障害が残ったとき、等級に応じて受けられる。
障害等級第1~7級:障害(補償)等年金・障害特別支給金・障害特別年金
障害等級第8~14級:障害(補償)等一時金・障害特別支給金・障害特別一時金
遺族(補償)等
給付
業務災害または通勤災害により死亡したとき、遺族の数と生計を同一にしていたかに応じて給付を受けられる。
生計を同一にする遺族がいた場合:遺族年金、遺族特別支給金、遺族特別年金
生計を同一にする遺族がいない場合:遺族補償一時金、遺族特別支給金、遺族特別一時金
葬祭料等
(葬祭給付)
業務災害または通勤災害により死亡した人の葬祭を行うとき、315,000円+給付基礎日額30日分の金額(その額が給付基礎日額の60日分より少ない場合は、給付基礎日額60日分)の給付を受けられる。
傷病(補償)等
年金
業務災害または通勤災害による傷病が、療養開始から1年6カ月経過後も治癒しておらず、障害の程度が傷病等級に該当する場合に、障害の程度に応じて年金を受けられる
介護(補償)等
給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金を受けている人のうち、第1級の障害か、第2級の精神・神経の障害および胸腹部臓器の障害があり、現在介護を受けているときに介護費用を上限額まで受けられる
二次健康
診断等給付
定期健康診断の結果、血圧検査・血中脂質検査・血糖検査・腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定の4項目すべてに異常が認められた場合で、脳・心臓疾患症状を有さない人は、二次健康診断を受けられる

出所:厚生労働省「労災保険給付の概要」「1-2 各労災保険給付の支給事由と内容について教えてください。」「労災保険給付の概要」を基に筆者作成

なお、私用が原因の場合や故意に災害を発生させた場合、通勤ルートを外れて飲みに行った先での出来事など、私的な行為によって発生した災害は、業務災害・通勤災害とは原則認められません。また、4日未満の休業については、労災保険からではなく、使用者から補償を行うこととなっていますので、留意が必要です。

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通勤中の交通事故などは「第三者行為災害」として扱われる

通勤中の交通事故など、業務中や通勤中に起きた事業主以外の第三者が原因の災害もあります。こうしたものを「第三者行為災害」と呼びます。

第三者行為災害を受けた場合の労災保険の給付は、通常の労災保険とは異なる扱いがされます。第三者行為災害を受けた場合、一般的な労災保険の申請書類に加えて、専用の書類などを提出する必要があります。

そして、労災保険の給付か、損害賠償(自動車事故の場合は自賠責保険からの支払い)のどちらか先に受けたほうを基に、後に受けるものの金額が調整される場合があります。

例えば、労災保険で療養補償給付を先に受けた場合、損害賠償で受け取る治療費の金額に調整が入るなど、先に受けたほうと同一の事由のものが調整対象です。労災の特別支給金や、損害賠償での被災者等の精神的苦痛に対する慰謝料といったものは、同一の事由のものがないため、支給調整の対象にはならないようです。

労災と損害賠償のどちらを先に受けるかは、被災した労働者本人が決めることになります。

労災保険の手続き
労災に該当するかどうか判断が難しい場合は労働基準監督署に相談する

労災に関する相談は労働基準監督署か相談ダイヤルへ

ここまで概要を見てきましたが、自分では労災に該当するのか判断が難しいときや、申請方法がよく分からないなんてときもあるでしょう。そうした場合には、最寄りの労働基準監督署にまずは相談してみましょう。

また、厚生労働省の「労災保険相談ダイヤル」でも、一般的な疑問や相談を受け付けています。不明な点や気になることがある場合は、しっかりと確認しておきたいですね。

<参考URL>
厚生労働省「労働災害が発生したとき」
厚生労働省「労災保険給付の概要」
厚生労働省「第三者行為災害のしおり」
厚生労働省「1-2 各労災保険給付の支給事由と内容について教えてください。」