現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第7回は、昨今話題の電気自動車(EV)や5Gなどの成長分野で需要を伸ばす銅箔の製造・販売を手がける日本電解(5759)を取り上げます。

  • 昨今話題の電気自動車(EV)や5Gなどの成長分野に関わる電解銅箔が主力製品
  • 電解銅箔のマーケットシェアは日本で約60%、北米で約40%を占める
  • 日米のEV向け銅箔販売が好調。2022年3月期は大幅増収増益を見込む

日本電解はどんな会社?

東証マザーズ市場に上場する日本電解は、電解銅箔の製造や販売を手がけています

2021年6月に新規上場したばかりですが、上場時から株価は上昇傾向が続いており、投資家の関心が非常に高い成長株のひとつです。しかしその歴史は古く、創業は1958年で日立製作所、住友ベークライトなど3社の共同出資によって設立されました。

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主力の製品は電解銅箔です。電解銅箔とは銅を硫酸に溶かした電解液を電気分解することによって生成される極薄の銅箔です。銅箔は私たちの生活に欠かすことのできないスマホなどで使用されるリチウムイオン電池の素材として用いられているほか、さまざまな電子回路で使用されています。

日本電解の銅箔は主に2つの分野で需要が伸びています。1つは電気自動車(EV)の車載リチウムイオン電池の負極材の素材として用いられており、売上高のおよそ6割を占めています。

もう1つは電子回路の基板用の銅箔です。主に次世代高速通信の5Gのスマホや携帯基地局で用いられています。5Gでは従来よりも周波数の高く電波が減少しやすい高周波の通信を行います。日本電解の高性能な銅箔は電波の減少を防ぎつつ、フレキシブルな加工が可能であるといった強みを持っていることから採用が増えています。こちらは売上高のおよそ4割を占めています。

銅箔イメージ
日本電解の電解銅箔は、リチウムイオン電池や回路基板などエレクトロニクス機器の基幹部材としてさまざまな製品に使用される
※画像はイメージ

このように、昨今話題の電気自動車(EV)や5Gなどの成長分野に関わる製品を手がけている点が特徴といえます。

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日本電解の強みは?

日本電解の強みは、長きにわたり銅箔を手がけてきたことによる加工技術や信頼性です。現在日本の市場でのマーケットシェアは約60%、北米でのシェアは約40%と高いシェアを獲得しています。

特に米国で現在、電解銅箔の製造拠点(子会社のDenkai America)を有している企業は日本電解一社のみとなっています。脱炭素の時流により米国においても電気自動車の普及が進む中、米国の自動車メーカーにとって米国内の拠点からリードタイムも短くリチウムイオン電池の材料を入手できるメリットは大きいといえます。

また米バイデン大統領は重要インフラに関わる材料は米国内で調達しなければならないとする「バイ・アメリカン政策」を強化していることも恩恵につながっています。

中国や欧州では、銅箔業界も競合メーカーがシェアを獲得しており、低価格品では競争も激しくなっています。しかし高価格品で競合が少なく比較的ブルーオーシャンとなっている日米の市場での優位性を足がかりに顧客基盤の拡大や生産体制の強化を進めると期待されています。また、次世代の電池と期待されている全固体電池などについても将来的に参入出来るように研究開発を進めています。

日本電解の業績や株価は?

日本電解の2022年3月期は売上高が前期比29%増の188億円、営業利益が147%増の13億円と大幅増収増益を見込んでいます。8月に発表済みの2021年4〜6月期は新型コロナの感染拡大が一服し、日米のEV向けの銅箔の販売が好調に推移しました。原材料である銅の価格も上昇が続いていますが、生産効率の工夫や経費削減で利益は会社の計画通りに進捗しています。

日本電解(5759)の株価(週足、終値)
日本電解の株価チャート期間:2021年6月25日~2021年11月8日

11月5日の終値は5310円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約54万円です。

EV、5Gといった投資家の関心の高い分野で強みを持っていることから株価も上昇基調が続いています。いずれのテーマも大きな潮流はまだ始まったばかりなので折に触れ物色される銘柄の一つと考えられ、押し目を狙ってみてはいかがでしょうか?

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