「いつやめればいいのだろう」──。積立投資を実践する投資家の中には、やめ時が分からず、こんな悩みを抱えている人もいるかもしれません。継続が重要であることは皆に共通しますが、やめ時や出口戦略は、人によってまちまちです。本記事では、一般的な出口戦略を3パターン紹介します。運用計画を立てる際、ぜひ参考にしてください。

  • 積立投資の普及につみたてNISAが果たした役割は大きい
  • つみたてNISAのやめ時は人それぞれ。「やめたい時にやめる」「やめない」もOK
  • ただし、下げ相場は積立投資のチャンス。絶対にやめてはいけない。

つみたてNISAを利用している投資家は多い

積立投資を手軽に、そして非課税で有利に行う手段として、つみたてNISAがあります。日本国民に積立投資が浸透したのは、つみたてNISAがあったからといっても過言ではありません。金融庁による調査では、2021年6月末時点のつみたてNISAの口座開設数は、417万口座を突破しました。3年前の2018年6月末時点の口座数が約69万口座だったことを考えると、つみたてNISAは投資家のすそ野拡大に貢献しているといっていいでしょう。

NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査 (2021年6月末時点)金融庁PDF

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つみたてNISAでは、毎年40万円の拠出限度額の範囲で、投資信託などの比較的低リスクといわれる商品への積立投資が可能です。投資できる商品は金融庁に届け出た、低コスト・低リスクの投資信託とETFに限定されているため、銘柄選びで悩んだり失敗したりする可能性が低い点が投資初心者に選ばれている理由のひとつです。

つみたてNISAの大きなメリットは、拠出から最大20年の間運用益・分配金が非課税になることです。一般口座で取引すれば年間20.315%の税金がかかります。例えば100万円の利益があっても税金で約20%引かれてしまうので、手取りは約80万円になってしまいます。一方で、つみたてNISAで運用すれば、非課税なので100万円がまるまる手取りとなります。かなりの節税効果があることが分かるでしょう。

あらためて積立投資のメリットを確認しよう

そもそも、積立投資を行うメリットが何なのか、あらためて確認しておきましょう。

積立投資の1つ目のメリットは、少額から始められることです。まとまったお金がなくても投資ができるということは、社会人になりたての若者や、結婚や住宅購入、教育費など、何かとお金がかかる世代でも投資が始められることを意味します。積立投資は時間をかけるほど効果が大きくなりますので、少額でも早いうちから投資を始めることが将来のリターンを得るためには有効です。

2つ目のメリットは、たとえ少額でも長く続ければまとまった金額の資産を作れることです。積立投資は毎月無理のない範囲で、決まった金額を投資していきます。短期間で見るとそれほど大きな金額でもありませんが、何十年もたてば元本に運用のリターンも加わり、大きな金額に育っているはずです。

たとえ毎月の拠出額は少額でも、運用する期間はまだまだたっぷりある世代にとっては、少しずつでもコツコツと積立投資を続けることが大切です。時間を味方につけて資産を育てていきましょう。

積立投資はいつまで続けるべきか~出口戦略3パターン

積立投資の始め方についての情報はたくさんあります。しかし、積立投資のやめ方についての情報は少ないので、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。積立投資の出口戦略は、次の3パターンが考えられますので、計画を立てる参考にしてみてください。

積立投資のやめ時
積立投資をやめるタイミングについての情報は少ないので、悩んでいる人も少なくない

出口戦略その1 やめたい時にやめる!

つみたてNISAはいつでも解約して現金化できます。「貯金よりは利率が期待できる」という感覚で運用している人も多いので、とりあえず「やめたい時にやめる」という感覚でも大きな問題はないでしょう。

「目標額に達したとき」「満足できる利益が出たとき」「お金が必要になったとき」など、特別な理由がなくても解約できる気軽さも、つみたてNISAの魅力です。

出口戦略その2 ライフイベントが近づいてきたらやめる

住宅資金、教育資金、老後資金など、まとまったお金が必要なタイミングは何度かあります。数年後に大きな出費があると分かっている状態で含み益が出ていれば、そこで利益確定しておくのもひとつの選択肢といえるでしょう。

どうしても解約しなければならないタイミングで暴落してしまったら目も当てられません。リスク回避のためにも、ライフイベントが近づいてきたら、少しずつ出口を意識しておくことが肝心かもしれません。非課税期間が終わるタイミングでやめるのも一案でしょう。その場合も、あまり欲張らず、ほどほどのところで出口戦略に向かうのが賢いかもしれません。

出口戦略その3 積立投資をやめない!

「積立投資を解約しなくても金銭的に不自由しない」「含み損を抱えている」「つみたてNISAの非課税期間は終わったが、課税口座でも運用を続けたい」──。このような人は運用を続けるメリットのほうが大きいので、ぜひ積立投資をやめずに続けましょう。なぜなら、積立投資は長く続けるほど効果が大きくなる可能性が高いからです。

積立投資をやめない
積立投資をやめないのも選択肢のひとつ

絶対に辞めてはいけないタイミングは?

株価が下がると不安になって積立をやめたり、あわてて資産を売却したりする人がいます。しかし、積立投資にとって下落相場は、平均購入価格を下げてリターンを大きくする絶好のチャンスです。

積立投資においては、下落相場は投資信託が「安くたくさん買えるチャンス」と考えることが鉄則といえます。ここで売ってしまうとただ損をして終わってしまうため、辛抱強く積立を続けて、再び上昇に転じるタイミングを待ちましょう。

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