インフレや利上げ、ウクライナ情勢などが原因で、世界経済は先行きを見通しづらい状況が続いています。中でも高い成長率を維持してきた米国株式市場は、金融引き締めの影響が懸念されています。これからの投資は「銘柄選択」と「地域分散」がカギになるかもしれません。そこでぜひ役立ててほしいのが「全世界株に投資するアクティブファンド」。人気のファンドを5つ紹介するので、投資を検討してみてください。

  • 世界経済の見通しが不透明だからこそ「地域分散」と「銘柄の厳選」を考えたい
  • 特定のテーマに偏らず、純資産総額が多い全世界株のアクティブファンドを選出

米国だけでなく、欧州や新興国にも分散投資する

世界的に経済成長が鈍化する兆しも見える中、過去の金融危機を何度も乗り越えてきた米国株を魅力的に感じる人は多いでしょう。しかし、今の米国では過度なインフレが社会問題になっている側面もあります。実際にFRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ懸念から金融引き締めに動き始めました。ここ最近は高い成長率を続けていた米国経済ですが、今回の急激なインフレを無事に乗り切れるかどうかはわかりません。

安定成長を続けてきた米国株は、投資の定番といえます。手持ちの株式や投資信託が米国に偏っている投資家も多いことでしょう。しかし、今のように米国経済の先行きが見通せない状況下では、米国だけに頼ったポートフォリオは危ういかもしれません。

アクサ・インベストメント・マネージャーズ 未来の世界を見据えて、持続的な成長が期待される企業に厳選投資

米国経済が低迷するリスクに備えるためには、投資先を米国に絞らずに、日本や他の先進国、新興国株式にも分散投資しておきたいところです。また、今後は世界経済全体が成長を続けるとも限りません。投資信託の運用会社が銘柄を厳選するアクティブファンドを活用し、「成長する銘柄」に集中投資することも検討してみましょう。

分散投資では「地域」の分散も意識しよう

「投資の効率」に優れたアクティブ運用の投資信託

全世界株に投資する代表的なアクティブファンド

ここからは編集部が選出した、2022年を代表する全世界株のアクティブファンドを5つ紹介します。
全世界の株式に投資するファンドの中でも、特定のテーマ(業種など)に偏らないアクティブファンドを選出の条件としました。

純資産額が比較的大きいアクティブファンドを選んでいるため、いずれもポピュラーな銘柄となっています。気になるファンドがあれば、購入を検討してみてはいかがでしょうか(以下、データは2022年4月末時点)。

投資信託名 1年
リターン
3年
リターン
信託報酬
(年率・税込み)
純資産総額 運用会社
グローバル・ハイクオリティ
成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
(愛称:未来の世界)
-25.1% 30.5% 1.87% 5252.7億円 アセット
マネジメントOne
フィデリティ・世界割安成長株投信
Bコース(為替ヘッジなし)
(愛称:テンバガー・ハンター)
11.4% 1.65% 3043.0億円 フィデリティ投信
キャピタル世界株式ファンド 2.5% 56.1% 1.694% 2729.4億円 キャピタル・
インターナショナル
ファンドスミス・グローバル・
エクイティ・ファンド
1.8335% 2440.1億円 アセット
マネジメントOne
ひふみワールド+ -1.00% 1.628% 2024.9億円 レオス・
キャピタルワークス

※データは2022年4月28日時点の月次レポートから抜粋

トラリピインタビュー

グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)

世界の「割安株」に投資するアクティブファンドです。割安株とは、その会社の資産や稼ぐ力に対する評価が十分に株価に反映されていないため、実際の価値より割安だと考えられる銘柄のことです。投資家がその銘柄を正当に評価するようになれば、株価が上がる可能性が高いといえます。

『未来の世界』では、割安株の中でも特に競争優位性や高い成長可能性を持つ企業を「ハイクオリティ成長企業」と定義しています。独自の基準で組み入れ銘柄を選定し、高いリターンを実現してきたのが人気の秘訣です。組み入れ上位銘柄にはインドやデンマークの企業もあり、国別の組み入れ比率では米国が6割を超える一方で、インドや中国の割合が比較的高いのが特徴です。

『未来の世界』には、為替変動の影響を抑えた「限定為替ヘッジ」コースもあります。円安が進行している現状では、リターンは「為替ヘッジなし」に劣りますが、円高が懸念される局面では限定為替ヘッジを選ぶのもよさそうです。取扱販売会社は今回紹介する5本の中で最多となっており、証券会社、メガバンク、地銀、信用金庫など幅広い金融機関で購入できます。

フィデリティ・世界割安成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)(愛称:テンバガー・ハンター)

こちらも世界の割安株を対象としたアクティブファンドです。2020年に設定された比較的新しいファンドですが、世界の割安株を対象としたアクティブファンドの中でも高い人気を誇っています。

米国株の比率が5割以下と低めなのも注目ポイント。組み入れ上位銘柄にはインドや韓国の企業もあります。米国株中心に投資している投資家にとっては、投資先の分散にも活用できそうです。

『テンバガー・ハンター』には為替ヘッジありのAコースもあり、こちらも1700億円ほどの純資産を集めています。三菱UFJ銀行、野村證券のほか、地方銀行や地銀系証券会社で取り扱っています。

キャピタル世界株式ファンド

アメリカの投資運用会社、キャピタル・グループが運用する投資信託です。成長重視のファンドと分配重視のファンドのバランスを取って投資を行い、実質的に世界株式に投資しているのが特徴です。組み入れ上位銘柄には台湾やオランダの企業もあり、米国の比率は約56%となっています。

こちらも「限定為替ヘッジ」のコースがあるほか、年2回の分配を目指す「分配重視」のコースもあります。現在は大手ネット証券や対面証券会社などで取り扱っています。

ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンド

2021年12月22日に設定されたばかりの新しいファンドですが、純資産はすでに2000億円を大きく超えています。運用会社は国内系投信会社のアセットマネジメントOneですが、ファンドの実質的な運用は英国で人気のファンドスミス社が担当していることでも話題となりました。ファンドスミス社は英国のウォーレン・バフェットとも呼ばれるテリー・スミス氏による運用会社であり、その実力は高く評価されています。

新規ファンドなので過去1年リターンでの比較はできませんが、過去3カ月(2022年2~4月)のリターンは+2.08%で、今回紹介する5本の中で最も高くなっています。

国別の組み入れ比率は米国が70%強と高いのが特徴。現時点での販売会社はみずほフィナンシャルグループの3社のみです。

ひふみワールド+

日本の成長企業を中心に投資する『ひふみ投信』『ひふみプラス』で有名なレオス・キャピタルワークスによる、全世界株のアクティブファンドです。『ひふみワールド+』では、レオス独自の基準で成長性が高い企業を選別しています。

投資対象に日本を含まないため、日本株中心の投資家にとってはリスク分散にも活用しやすいでしょう。国別の組み入れ比率は米国が60%強となっています。

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