宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回は、「どれだけお金を貯めれば幸せになれるのか?」という相談に対して、30代から「程よいお金」を無理せずに貯められる方法を提案します。

  • 将来のためのお金を貯めることは大切だが、「今の幸せ」も生活に必要
  • 30代からお金を「程よく」貯める方法のひとつは投資信託の積立投資
  • 現物不動産投資もお金を貯める有効な手段。運用は40歳からでも間に合う

「お金」と「幸せ」の関係とは?

【質問】
はっこうさん、ずっと思っていたんですけど一つだけ質問があります。簡単でいいですから答えが欲しいのですが……。お金っていくら貯めたら幸せになれるんですか? 「程よいお金持ち」って何なんでしょう。お金を貯めないと困るのは理解しているつもりなのですが……。

この質問、30歳代のある主婦からプランニングの相談の最中に、ふっと出た言葉です。はっこう(初光)さんとは私の名前、初めての方には馴染みないと思いますので(笑)紹介させていただきました。

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そりゃあそうですね。お金をどれだけ貯めればいいかは「老後資金2000万円不足」から発した問題でもありますが、確かに「幸せ」というキーワードを言われると、考えてしまいます。人それぞれ性格も価値観が違うのに、「幸せ」の問題を「お金」だけで片付けてしまうのは無理があります。

私も60を超える年齢を重ねてやっと「これだったのか」と思えてくるようなことなのに、若い人たちがお金を貯めようとするときに「何なんだろう、何でこんなに大変な思いをしないといけないの?」と思うのは当たり前です。“お金教育”のなかった日本で、長いデフレ経済から突然インフレ経済に変化している時期ですから、これまで以上に生活しにくい環境で、なおさら大変だと思います。

そこで今回は私の実体験から、若い人たちに少しでもヒントになるように、早い段階から、これならできるというお金の運用方法を紹介していきます。
私自身が成功したかどうかではなく、結果として、今現在私がどう思っているのかを聞いていただきたいなと考えています。これから少し私の経験をお聞きください。

「今の幸せ」が大事、「程よいお金」を貯めるのも大事

高等学校の教育を終えてからの18歳から35歳までは、製造業、医療業、販売業、と転職しながらいろいろな業種の仕事に携わってきました。何も考えないで働きながら、生活を優先していた時期になります。この間、結婚して家族をもち、お金も垂れ流し(汚い言葉ですが)状態でした。仕事などを通じて多くの仲間が増えましたが、家にはお金がなく、何度家族を泣かせたことか(笑)。良く言えば、お金を自己投資に使っていたという言い方もできるかもしれません。「お金なんて何とかなるわ」と強気に思っていました。

トラリピインタビュー

仕事をする男性
日々の仕事に追われながら、今の「幸せ」のためにお金を使っていた

その後、36歳で金融業に携わることになったのが転機となり、資産を増やすためにさまざまなチャレンジをしていきました。その中には多くの失敗(損失)もありました。「お金を預けるならどこがいいのか?」の答えを探すために、先物取引もしましたし、株式の取引で破綻、匿名組合契約でも破綻の経験をしながら、継続して何かしらの運用をしていました。今思うと、「とりあえずやってみる」という性格にも問題があったのかもしれません。

その中で、自宅の火災、台風、水害、そして母の死と、困難も降りかかってきました。人間は誰もが生きていく過程で、良いことと悪いことを繰り返しながら年齢を重ねていきます。そして、ある程度の年齢になると、圧倒的に悪いことが多くなります。多くなると思ってください。だからこそ、良いことが幸せに思えてきます。

「お金」と「幸せ」はイコールではありません。将来のためのお金があっても、今が幸せなのかという基準で、目の前のお金をどう運用するかを決めることも大切です。ある運用会社から聞いた言葉に、なるほどと感銘を受けたことがあります。
「20歳代はお金を貯めるのではなく、自分に使うことが重要だ」

私は、「努力すれば報われる」という言葉が好きでありません。努力がすべてでは、大変なだけです。結果として、「今の幸せ」が感じられれば、それがすべてにおいて「良かった」となるのが現実です。とはいえ、「程よいお金」を貯めることは必要になります。

30代で始める「投資信託+不動産投資」

ここからは今回の相談者に当てはめて、30代で「程よいお金」を持つためにやるべき投資をみていきます。これが全てではありませんが「程よく」貯めるのに最適だと思います。
現在35歳で、30年後の65歳に年金受取開始として、以下の2つの方法はいかがでしょうか。

①投資信託……月々10,000円で30年間積み立てる

年利5%で運用すれば、30年後は約819万円(税金は加味していません)。ただし、積み立てたお金を途中で使ったりせず、ほったらかしておくことが条件となります。

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②現物不動産投資……区分所有ワンルームマンションを中古で1戸購入して貸し出す

ただし条件として、地価上昇が続く都市部の築浅物件(九州内であれば福岡市、できれば築20年前後)で、なおかつ1000万円以内の物件に抑えます。

仮に900万円の物件であれば、頭金に200万円用意して、約700万円を銀行借入金で支払います。
借入金の返済期間を15年、借入金利が3%で元利均等返済とすれば、毎月の返済額は約4万8000円。月々の積立管理費1万円、家賃収入が5.3万円であれば、多少足が出るかもしれませんが、許容範囲で返済できるでしょう。借入金は50歳時に完済でき、それ以降は資産を増やすことができます。

子どもの進学をきっかけに始める現物不動産投資

これで65歳時点で増やすことができた資産は、①投資信託で819万円、②現物不動産投資で約900万円の、合計約1719万円にもなります。51歳から65歳の積立は月1万円のみですので、生活費にもいくらか余裕が出るはずです。

現物不動産の方は無理して購入しなくても、投資信託の積立を長く続けるだけで、積立金次第では老後資金が大きくたまっていきます。どうでしょうか? 「程よいお金持ち」になれた気がしませんか。

なにも若いときにお金を使うのをがまんしなくても、運用は40歳からでも間に合うことを忘れないでください。
私自身は、結果としてやってきたことに後悔は感じていません。何事もチャレンジしながら、幸せ感を感じ取っていただきたいと願います。ポジティブが一番です。

「程よいお金持ち」を目指す30歳からの資産運用

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