早いもので11月も終わりを迎え、もうすぐクリスマスがやってきます。この記事では、クリスマスの時季に株価が上がりやすいという「サンタクロースラリー」について解説します。サンタクロースラリーとは「アノマリー」の1つ。アノマリーとは「理論的に説明ができないものの広く知られている経験則」を意味する言葉です。過去10年の日経平均株価とS&P500の12月の騰落率をグラフ化して検証しました。

  • 主に米国株に見られるアノマリーとして、サンタクロースラリーがある
  • 12月に売り圧力が強まり、1月に買い戻すので株価が上昇しやすいといわれる
  • アノマリーは絶対ではない。タイミング投資ではなく積立投資が資産形成には良い

アノマリーとは?

アノマリーとは、具体的な根拠や現代の株式相場に関する理論では説明できないものの、相場でたびたび起こることとして知られている株式市場の経験則です。代表的なアノマリーとして「1月効果」「セル・イン・メイ」などがあります。

1月効果は、主に米国小型株に見られる現象として広く認識されているアノマリーです。中小型株を中心に投資している個人投資家が、税金対策のために含み損を抱えた中小型株を12月でいったん売却し、年が明けて1月になってから再び買い戻す動きが多くなります。そのため1月は中小型株が上がりやすいと考えられている現象のことです。

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セル・イン・メイは「Sell in May, and go away, don’t come back until St Leger day.(5月に売れ、そしてどこかへ行け、セント・レジャー・デーまで戻ってくるな)」という意味のアノマリーです。

セル・イン・メイは元々、イギリスの投資の格言から来ているそうです。夏場の株式市場は盛り上がりに欠けて株価が停滞するから、5月のうちに持っている株をいったん手放し、9月に開催される競馬レースの『セント・レジャー・ステークス』の後に株式投資を再開しなさい、という意味だそうです。

アメリカの株主総会は、4~5月にかけて実施されることが多く、株主の多くは、子どもたちが9月に学校へ戻るまでのあいだに長期の休暇をとる傾向があります。そんな背景を考えると、セル・イン・メイにも一理あり、信じる投資家が多くいても不思議ではありません。

「セルインメイ」は正しい? 米国株のアノマリー

今年もやってくるか? サンタクロースラリー

サンタクロースラリーとは、米国株式市場において12月のクリスマスから1月にかけて株価が上昇するアノマリーのことです。12月は税金対策のための処分売却が出やすいため、売り圧力が高まりやすい一方で、クリスマス以降は売り圧力が落ち着き、1月にかけて買い戻しによる株式市場が上昇する動きになりやすいことから来ています。

トラリピインタビュー

クリスマスシーズンが近づいてきたいま、米国を代表する株価指数であるS&P500と、同じく日本を代表する指数の日経平均株価について、過去10年をさかのぼり、12月の月間騰落率を調べてみました。本当に12月の株式市場には、サンタクロースが来ているのでしょうか?

【図表1】S&P500の12月の月間騰落率(2012年~2021年)
S&P500 の12月の騰落率

S&P500の12月の月間騰落率を2012年~2021年の10年間にわたってさかのぼったところ、10年間のうち7回の相場上昇が見られました。特にこの3年間は、1カ月で3~4%上昇というクリスマスプレゼントが投資家のもとに舞い込んでいます。一方、10年間のうち3回は相場の下落が見られ、中でも2018年の12月は-9.2%と大きな下落が見られました。

【図表2】日経平均株価の12月の月間騰落率(2012年~2021年)
日経平均株価の12月の月間騰落率

続いて、日経平均株価の12月の月間騰落率を2012年~2021年にわたってさかのぼったところ、こちらも10年間のうち6回相場が上昇しており、ほぼ横ばいの年が2回見られました。一方、相場が下落したのは10年間のうち2回となっています。10年前の2012年は第2次安倍政権が発足し、アベノミクス相場が10%増という大きなプレゼントを呼び込みましたが、2018年の12月にはS&P500と同じように大きな下落が見られました。

10年のうち株価が上昇した回数と下落した回数の多さだけで判断すると、クリスマスラリーは存在すると考えられますが、大幅に下落している年もあるため注意が必要です。

日本株年度末に向けて上がりやすい傾向に

日本にも、10月から年末にかけて株価が上がりやすいといわれる「掉尾(とうび)の一振」というアノマリーがあり、年末から翌年の春先にかけて株式相場が上昇して夏場にかけて下落する傾向があるといわれています。

とはいえ、先ほどのグラフでもあったように、株高の傾向といわれる月であっても大きく下落することもあります。資産形成では大きく負けないことが肝心です。大きく負けてしまうと、回復するのに時間がかかります。こうしたタイミング投資には暴落のリスクも伴うため、結局はコツコツと毎月一定額の積立投資を続けることが長期的な資産形成に有利でしょう。

積立投資は、株価が高い時には少なく、株価が安い時にはたくさん購入することができるので、価格変動のリスクを分散しつつ、安定的に資産形成することが期待できます。サンタクロースに期待しなくても、気づいたら資産が大きく増えているかもしれません。

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