2022年も残りわずか。今年は世界的なインフレとそれに伴う米国の利上げに金融市場が大きく振り回された1年でした。YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」(2022年11月23日現在登録者数36.1万人)を運営し、「投資家ぽんちよのブログ」も大人気の投資YouTuberぽんちよさんに今年を振り返っていただきましょう。

  • 米利上げなどの影響で米国株は、6月に年初来−23.5%となり弱気相場入り
  • 急伸する円安/ドル高で円建てベースでは一時最高値を更新する米国株投信も
  • 2023年も「定額積立を続ける」という投資の初心を忘れないことが重要

2022年の米国株相場 今年1年間を振り返る

どうもこんにちは、投資YouTubeチャンネル「【投資家】ぽんちよ」や「投資家ぽんちよのブログ」を運営しているぽんちよです! 2022年、S&P500は年初来下落率で20%を超え、コロナショック以降初の弱気相場となりました。では、激動の2022年の米国株相場は、何に起因したのか? 投資YouTuberにとってどのように映ったのか? を振り返りたいと思います!

【図表1】年初来のS&P500チャート
年初来のS&Pチャート
出所:Trading Viewより筆者作成

1~3月:下落から始まった2022年相場。早くも暗雲立ち込める

2021年の年間リターンは+30%弱となり好調な相場で終えましたが、迎えた2022年は下落から迎える年となりました。この理由は、1)コロナ以降急激に企業業績が回復したこと、2)アメリカの急激なインフレを退治するため、今までの金融緩和路線から、金融引締路線に切り替わるタイミングとなったためです。そして「いつ利上げが行われるのか?」という不安・警戒感から株式市場では、ハイテク・グロース株を中心に大きな下落となりました。

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4~6月:S&P500はハイテクを中心に続落、ついに弱気相場入り

年初から始まった下落相場ですが、4~6月に発表されたアメリカの消費者物価指数は、いずれも市場の予想を上回る高いインフレの率となりました。これに伴い利上げペースが加速し株価が続落したことで、6月には年初来−23.5%となり弱気相場入りとなります。

特に下落の中心がGAFA含むハイテク・グロース株であったため、2021年に人気を博したレバナス(NASDAQ100にレバレッジをかけた指数に連動する投資信託・ETF)も半値以下となり、Twitter上で「レバナス辞めました」などの損切り報告なども見られるようになりました。

【図表2】「レバナス」と呼ばれる投資信託『iFreeレバレッジ NASDAQ100』の年初来リターン
iFreeレバレッジ NASDAQ100のリターン
出所:楽天証券より筆者作成

レバナス投資ブームの光と影

7~9月:株価は一時上昇、インフレ収束の期待も!

アノマリーとして夏場は株価が下落しやすい「夏枯れ相場」と言われますが、今年は上半期に株価が大きく下落したことに伴い、7~8月にかけて反発する相場となりました。特にインフレの原因とされていた原油価格も下落し、8月発表された7月消費者物価指数は市場の予想を下回るインフレ率であったことにより、利上げペースの減速が期待されS&P500は4300ポイントほどまで上昇

【図表3】S&P500連動投資信託『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の基準価額推移
eMAXIS Slim 米国株式の基準価格推移
出所:楽天証券より筆者作成

また、日米の金利差に伴い円安が進行したことにより、S&P500は円建てベースで最高値を更新し、S&P500連動の投資信託を買っている日本投資家にとっては嬉しい相場となりました。ただ、9月に発表された8月消費者物価指数は再び市場予想を上回ったことにより、S&P500は下落に転じ、年初来―25%を超える下落率となります。

10月~12月:消費者物価指数は下がるものの、12月に下落

【図表4】10月・11月で上昇したS&P500
S&P500の2022年8月~12月推移
S&P500の推移(2022年8月~12月)
出所:Trading Viewより筆者作成

急激な利上げに伴い、インフレも終息に向かいつつあることを好感され、10~11月は再び上昇相場となりました。ただインフレは終息に向かいつつあるものの、FRBは「利上げは今後継続する」との見方を崩さず、直近では再び相場が崩れ始めています。

2023年に向け、S&P500・米国株への投資は?

2022年は日本人投資家にとって、株安であるものの円安になり、米国株暴落の影響は少ない年となりました。実際に、円建てベースのS&P500連動投資信託である『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』は年初来で約-4%とほとんど下落していません

【図表5】S&P500連動投資信託『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の基準価額はほぼ横ばいに
eMAXIS Slim 米国株式の基準価格推移
出所:楽天証券より筆者作成

そして今後、2023年でFRBの利上げが終息・利下げに転じれば、再び株価は回復し始めると予想できます。ただ一方で、利上げ終了に日米の金利差拡大が終息することで、円高も進行することになります。このため、日本人投資家にとっては「米国株価は回復しても円高により資産額は増えない」という状態に陥ることが予想されます。

ただこのような円ベースでの横ばい相場が続くのであれば、そんな時こそ定額積立のドルコスト平均法が効果を発揮します。

現在でも今後の景気後退を見越し、米国ハイテク企業が新規採用の抑制を行うなどのニュースが出てきており、このような景気後退は米国株のリスクと考えることもできます。ただ、相場がどのように転じても「しっかりと定額積立を続ける」という投資の初心を忘れないことが重要と言えるでしょう! よいお年を!

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