現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第43回は、個人投資家に人気の投資信託の「ひふみ投信」、国内外の年金基金運用や投資顧問業務を手がけるレオス・キャピタルワークス(7330)を取り上げます。
- レオス・キャピタルワークスは、個人投資家に人気の「ひふみ投信」などを手がける
- 強みは国内での認知度と運用力。「ひふみ投信」の運用成績は中長期で安定
- 「ひふみ投信」の年間つみたて額は1300億円超。資産形成層のさらなる拡大に期待
レオス・キャピタルワークス(7330)はどんな会社?
レオス・キャピタルワークスは、個人投資家に人気の投資信託の「ひふみ投信」シリーズ、国内外の年金基金運用や、投資顧問業務を手がけています。4月25日に東証グロース市場に新規株式公開(IPO)しました。
同社は2003年に「資本市場を通じて、社会に貢献する」という経営理念のもとに創業しました。社名の「レオス」は古代ギリシア語で、「流れ」という意味があります。「時代の流れは、常に変化をしており、変化の中にこそ無限のチャンスがある」と藤野英人会長兼CEOは考えています。藤野会長は、 現野村アセットマネジメント、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなどを経て、中小型株や成長株のカリスマファンドマネージャーとして知られており、レオス・キャピタルワークスの創業者の一人です。
ひふみ投信の最新の2023年4月の運用レポートによりますと、組入れ比率の上位銘柄は、楽天銀行 (5838)、ソニーグループ(6758)、NTT(9432)、東京海上ホールディングス(8766)、東京エレクトロン(8035)など成長力のある大型株や割安な金融株などをはじめ、約300銘柄に幅広く投資しています。比率はわずかですが、米国のマイクロソフト(MSFT)などの優良海外株にも一部投資しています。
レオス・キャピタルワークス(7330)の強みは?
レオス・キャピタルワークスの強みは、国内での認知度と運用力です。
旗艦ファンドのひふみ投信は、レオスキャピタルによる直接販売のみですが、ひふみ投信と同じ運用を行う「ひふみプラス」は大手の証券会社や銀行など96社の販売パートナーで窓販されています。また、同社の公式ユーチューブチャンネルの「お金のまなびば!」は、チャンネル登録者数が22万人を超え、金融業界でトップとなりました。
レオス・キャピタルワークスの運用資産残高は、2023年5月19日時点で1.2兆円を超え、国内の独立系資産運用会社として最大の規模となっています。
ひふみ投信の2008年の設定以来の運用成績は年率で+12.7%と中長期で安定した成績となっています。こうしたことから運用成績も評価されており、「ひふみ投信」は、格付投資情報センター(R&I)が選定する「R&Iファンド大賞2023」」の10年・国内株式コア部門で優秀ファンド賞を受賞しています。
レオス・キャピタルワークス(7330)の業績や株価は?
レオス・キャピタルワークスの前期2023年3月期の実績は、営業収益が前期比2%増の96億円、営業利益が18%減の16億円となりました。
欧米を中心としたインフレや金利高で株式相場は、不安定な展開が続き、業績を押し下げました。ただし、2023年に入ってからは回復基調となっています。マーケットの変動による影響が大きく、予想が難しいため今期の業績予想は開示していません。
5月19日の終値は1229円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約13万円です。
レオス・キャピタルワークスは、4月25日に公開価格1300円で新規上場して、初値は、公開価格を33%上回る1730円で初値を付けましたが、その後の株価推移は下落が続いていました。
商社などの日本の大型株に海外投資家の関心が集まり、日経平均株価が3万円を超えるなど主力株に物色が向かった結果、新興の中小型株への関心がやや後退しています。しかし、2024年からは、投資可能額も大幅に拡大する新NISA(少額投資非課税制度)もスタートします。ひふみ投信は、若年層など資産形成層を中心に120万人がつみたて投資などを行っており、年間のつみたて額は1300億円を超えています。
株高で、新たに資産運用を考える層も増えるとみられており、株価は再度上昇トレンドに回帰する可能性があるとみています。