テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
連載第165回は、放送作家協会が運営する作家養成スクール「東京作家大学(東作大)」でも講師を務める、放送作家のさらだたまこさんの再登場! 今回は62の手習いで始めた「熟年空手」を丸3年続けたダイエット経済効果を大公開!
運動暦ゼロから激変した新宿のおばさん生活
それは令和3年4月1日。突如思い立って、空手を習うことにした。
エイプリルフールだけど、マジで!
動機は「痩せたい!」ただそれだけだった。
令和3年の春、61歳と8カ月の私は体重計に乗ると63kg。
「やべえ、体重>年齢じゃん!」
遡れば、五十路に入ってから“体重=年齢”現象が始まり、年々1kgずつ増えるのが止まらなくなっていたが、還暦を過ぎて体重増加にアクセルがかかってしまったのだった。
女性は更年期にホルモンのアンバランスから太るとは言われているが、加えて、コロナ禍の生活制限で滅多に出かけなくなり、ほとんど家にいたから、やることは「食っちゃ寝て、配信動画にはまっては、ぐずぐず原稿を書いてる」という体たらく。
人にも会わないので、おしゃれもせずにスエットの上下でユルユルだから、そのころの私は
「目は一重、あごは二重で、三段腹!」という体形になっていた。
でも、もう60も過ぎて、若い頃キレイだったあの女優さんだって激太りしてるので、いいかあ、という諦念の境地にもなっていた。
しかし我が身がいきなり戦慄したのは、職場健診(フリーランスの作家だけど脚本家の組合に加入しているので福利厚生の一環)で肥満関連の数値がメチャ高く、判定は「このまま放置したら入院レベル」とイエローカードを突き付けられたこと。
加えて「骨年齢は80歳並みの骨粗鬆症」ということも発覚し、こちらは「くしゃみしても骨折の危険性あり!」という警告レッドカードで、デブく重い体は骨にも負担があり、「痩せて、なおかつ骨太になる」という課題が降りかかったのであった。
老いた親の介護もしてたし、ここで、骨折してるヒマはない!
なんとかしなければ!
そして、もうひとつ「痩せよう!」と強く思った理由があった。
実は恋をしたからだ!
めったに出かけない日々が続いていたが、仕事関連でどうしてもリアルで人と会うことになり、そこに居たイケメンにひと目惚れしたのだ。
精悍なボディに鋭い視線!
聞けばテコンドーと射撃の達人だという。
「ひょえー、リアル“リ・ジョンヒョク”(⇐当時、大流行した『愛の不時着』のヒーロー)いたあ!」
ただし、彼は私より20歳以上若くて、ラブラブの奥さまもいて、叶わぬ恋だし、第一デブい私なんぞ眼中に無し……であえ無く撃沈した(トホホ)……。
だが「いや、待てよ! 人生は長い。この先またこんな出会いがあるかも知れん! それも、独身のイケメンと! その日のために、顏は無理でもせめてなりたやソン・イェジン(『愛の不時着』のヒロインを演じた女優)のボディ!」と考えを改めた。
太ったのは食べすぎ、飲み過ぎもあるが、運動不足で日に当たらない生活は骨にも良くなかった。
ダイエットなら有酸素運動。
だが、社会人になってから運動らしい運動はほぼゼロ状態。20代の頃、ちょっと齧ったジャズダンスを再開しようか、それとも流行りのジム通いにするか……。整形外科の先生からはゲートボールを勧められたが、そこにリ・ジョンヒョクがいるとは思えないし……。
有酸素運動で適度に骨にも刺激がある運動をするには?
そうだ、空手だ!
本当はテコンドーを習いに行くはずだったが、お恥ずかしい話だが、武道や格闘技に興味がなかった私には、空手とテコンドーの区別さえついてなかったのである。
たまたま、同世代の知人の男性が空手をやっていて「うちの道場、アラカンの女性もいるよ」というので速攻、知人の通う道場に見学に行き、入会を決めた。
道場には、リ・ジョンヒョクはいなかったが、真摯に稽古する女性はみなさん凛としてソン・イェジンみたいだったから、私もそうなれると思ったからだ!
それから3年、デブデブの身体を引きずりながら、新宿の道場に通い始めた。
当初は週一だったが、半年あたりからダイエット効果も出始め、時間があれば、せっせと稽古に精を出す新宿のおばさんになっていた。
1年で10kg、2年で20kgで潤う生活
令和6年4月1日の体重は44.4kg。体重計はこの一年ほど43~46kg 行き来して変わらない。
リバウンドなく過ごせているし、この2年間の職場健診でも懸念された数値は改善されたのでダイエットは成功と言えるだろう。
骨粗鬆症は専門の整形外科にかかり、やはり3年をかけて投薬治療も続けていて、加えて空手効果もあり、また自主練で近所の公園や空き地で朝日を浴びてきたので、80歳の骨年齢が若返り、
60代後半の年齢相応にまでには回復(といっても骨折する危険性はゼロではないので、油断は禁物)。主治医も「相乗効果がかなりあったね」と驚いている。
さて、空手ダイエットによる経済効果はいかに?
1つは、昔、痩せていた頃に買い込んだが、袖を通さないままほぼ新品の服が着られるようになったこと。
痩せなければ着る事もないので、古着として処分するしかなかったが、ようやく日の目を見て洋服も喜んでいる。
2つ目は、「お酒とスナック菓子」の消費が減った。お酒は相変わらず好きだが、翌日の稽古に支障があるので2日酔いは避けたいのと、早く寝るようになったので、徹夜仕事で夜中にお腹が空いてお菓子に手を伸ばすこともなくなった。
食事制限してるわけではなく、朝と昼はがっつり炭水化物も摂るし、おやつにスイーツも食べる。ただし、夕食は控えめで、夜飲みも多くて週1程度だから、太る心配はない。
3つ目は身体が軽くなって歩くのが好きになったので、タクシーに乗ることが激減。
これらは我が家の家計でみると節約にはなっているが、消費を控えることは世の中の経済活動には効果をもたらさない。
とはいえ、節約したお金をタンスに仕舞わず、働いてもらおうと、金融商品にようやく目を向ける余裕もできた。
来週も懇意にしてるファイナンシャルプランナーと会って、作戦を練る!
人生はまだまだ長い!
還暦過ぎても恋するために!
心身を健やかにして、気持ちが豊かでないとね!
ところで、3年間通って肝心の空手自体は上手くなったのか?
空手をやること自体にどんな経済効果があるのか?
それは、次回に続けてご報告したい。
次回も放送作家のさらだたまこさんの続編です。お楽しみに!
是非読んで&観てください!
■ ダイエット中に、介護生活を体験。やはり最初の3年間はアップアップしながらなんとか乗り越えてきた経験から、これから介護するみなさんに少しでも参考になればと。
■ 骨粗鬆症予防啓発にラジオ出演いたします。
「ティモンディの人生キャッチボール」(ABCラジオ)
(毎週 月曜6:05頃〜 約8分「朝も早よから芦沢誠です」内)
2024年4月22日(月)、29日(月)、5月6日(月) 放送
※Radiko や ポッドキャストでもお聴きいただけます。
※過去放送分はYouTubeにアーカイブされてます。
■ 2024年の夏は音楽朗読劇を!
「うるまの島々から北の大地へ、そして」
~やさしさの道しるべ
外岡秀俊の世界
6月8日(土) 那覇公演 於:那覇文化芸術劇場
(8月には札幌公演を予定しています)
■ さらだたまこのダイエットに勤しんだ空手道場はこちら
■ さらだたまこの熟年空手女子SNS
Twitter(X)https://twitter.com/JKJ_saratama
Instagram https://www.instagram.com/jkj_saratama/
■ さらだたまこがエッセイ講座の講師をつとめる東京作家大学はこちら
東京作家大学
開校して10年目を迎え、ただいま記念すべき10期生を募集中。
4月中は、5月の新年度の開講にむけて、入学説明会など開催中です。
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。