未上場株式を発行する企業と投資家を結ぶ

グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル――。それぞれの頭文字を取って「GAFA」と呼ばれるこの4社は、すべてアメリカの会社です。

「なぜ日本からGAFAが生まれないのか」という議論をよく見聞きしますが、そのなかで指摘される問題のひとつが、日米の資金調達環境の差です。


「GAFA」に匹敵する企業が日本から生まれる日は来るのか

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米国では、創業期であっても何億円もの資金を調達できるベンチャー企業が数多く存在します。一方、日本ではそうした環境が整っているとはいえません。同じ時期に同じビジネスを始めたとしても、資金面で大きな差をつけられてしまうのが現状なのです。

そんな日本の現状を変えるべく、2017年から新たな資金調達のサービスがスタートしました。それが「株式投資型クラウドファンディング」です。

株式投資型クラウドファンディングとは、インターネットを通じて未上場株式を発行する企業と投資家を結びつける仕組みのこと。投資家は投資先企業の株主となり、将来的に上場するなどして株価が上昇した場合、株式を売却することでキャピタルゲイン(値上がり益)を得ることができます。

【図表】株式投資型クラウドファンディングの仕組みイメージ

トラリピインタビュー

米国ではすでに多くの実績があり、配車サービス「Uber」で知られるウーバー・テクノロジーズもこの方法で資金を集めたといわれています。

日本初の株式投資型クラウドファンディングは、日本クラウドキャピタルが運営する「FUNDINNO(ファンディーノ)」。同社のホームページによれば、サービス開始から1年11カ月の累計成約額は18億円を超えています。

例えば、15歳での起業が話題となった若手実業家・吉田拓巳氏が代表を務めるノモックは、ファンディーノを通じて5000万円の資金を手にしました。開始からわずか4分30秒で募集金額の上限に達したそうです。また、機密文書の溶解処理サービスを提供するターズは、8290万円の資金調達に成功しています。

企業理念に共感できる会社を応援

株式投資型クラウドファンディングはベンチャー企業にとって有力な資金調達手段になりつつある一方で、投資家にとっては証券会社の取引画面で簡単に売買できる上場株式と違って、未上場株は売りたいときに都合よく売り手が現れるとは限らず、換金性に劣るというデメリットがあります。当然ながら、上場株式と同じく元本は保証されていません。投資家はそのリスクに十分留意する必要があるでしょう。

国内ではファンディーノのほかに「エメラダ・エクイティ」「GoAngel」など複数のサービスがあります。各サイトには資金調達を行う企業のプロジェクトが掲載されており、詳細を確認することができます。

投資家はその情報をもとに、自己の責任において投資判断を行うことになります。ちなみに、投資できる金額には上限があり、同じ企業が発行する株式は年間50万円までしか購入できません。

株式投資型クラウドファンディングを行う企業の多くは創業して間もないため、マザーズやジャスダックなどの新興市場の上場基準を満たさないほど規模が小さく、財務状況も現時点では上場企業より劣る場合がほとんどです。そのためリスクは決して低くありませんが、“未来のUber”を探すような夢のある投資であることはたしかでしょう。上場株式と比べてより身近に経営を応援できることも魅力です。余裕資金の範囲で、企業理念や事業の目的に共感できる会社に出資してみると、将来の楽しみがひとつ増えるかもしれません。

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