ご自身にお子さんがいないおひとりさまでも、甥や姪、あるいは友人の子どもなどにお年玉をあげる機会があるかもしれません。ところで、お年玉も「他人に贈与するお金」の一種です。お年玉が贈与税の対象になるのかどうか、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

  • 日本に根付いたお年玉の習慣。お年玉には贈与税がかかるのか?
  • 相続税法では、「社会通念上相当と認められる」金額であればお年玉は非課税
  • 入社祝いや昇進祝いなど、大人への祝い金もお年玉と同様に通常は非課税

おひとりさまにもお年玉をあげる機会がある

年末年始、皆さんはどのように過ごされましたか?

「おひとりさまだし、別に普段と変わりなし」という方も多いのかと思いますが、親族はいなくても気の合う仲間と初詣をするとか、故郷に帰って同窓会に参加するなど、人と会う機会が増えるのも年末年始の行事の一つです。

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「親しい友人がお正月に小学生の子どもを連れて遊びにきた」。そんな時、その子どもにお年玉をあげるべきか、何もしないか、あげるとしたらどのくらいの金額が妥当か、そんな問題に頭を悩ましたことはないでしょうか?
親族以外にはあげたことがない方が多いのかと思いますが、私自身の税理士業の中で知りあった方には財産家で、お正月には松が明けるまでの間にあいさつをした人は、大人も子どもも関係なくすべてお年玉をあげるというおばあちゃまもいました。(バブルの頃の話です。おばあちゃまの前には行列ができるという噂もありました(笑))

日本のお正月には「お年玉」という既成概念があり、金銭のやり取りをする習慣があります。普段はお年玉の習慣について難しく考える機会はあまりないと思いますが、「このお年玉に税金がかかるのでは?」という疑問を持ったことはありませんか?

お年玉
日本人に深く根付いた慣習である「お年玉」は、贈与税の対象になる?

法的にも、通常はお年玉に贈与税がかからない

人から金銭をもらえば、基本的には贈与税の課税対象となります。もらう相手が親族でも他人でも関係はありません。でも結果的に、普通のお年玉には贈与税がかからない決まりが相続税法の中に書かれています。

No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)

トラリピインタビュー

上記の国税庁のホームページによると、

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。

とあり、その後に贈与税がかからない財産として12の事例を掲げています。
その8番目に、

8 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

と記載されています。

「社会通念上相当と認められるもの」……。この判断は難しいですね。
その方の生活スタイルによっても、どこまでの金額が「社会通念上相当と認められる」のかは変わってくると考えられます。

しかし、社会通念上妥当な金額の範囲であれば、たとえばテレビで活躍する2世タレントの昔話に出てくるような「100人の方から3万円ずつのお年玉をもらった」としても、贈与税の心配はしなくて済むことになります。

大人への祝い金も通常は非課税

七五三のお祝い、入学祝いなど子どもの事例だけでなく、入社祝い、昇進祝い、還暦のお祝いなど、大人になってから人にいただく金品も、社会通念上相当と認められれば同様に贈与税は非課税です。

そもそも贈与税がかからないお年玉などの祝い金ですから、年間110万円の贈与税の非課税枠に含めて計算をする必要もありません。

念のためお年玉の平均値を調べてみました。
リーディングテック株式会社(東京都江東区)の『お年玉実態調査2020』では「1封あたり(1人あたり)のお年玉の金額は平均値が4,470円、中央値が3,000円」ということでした。

お年玉実態調査2020 – 平均額は4,470円、1940年代から約6倍に増加(LeadingTech)

これで皆さんも、お年玉をたくさんもらっても贈与税がかからない理由がわかりましたね。

何となく習慣として捉えている「お年玉に税金がかからない」ことにも、ちゃんと税法を踏まえた理由があったのです。

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