個人投資家も伝統的資産と呼ばれる株式や債券だけでなく、さまざまな資産に投資をする方が増えています。伝統的資産以外の資産への投資を、投資の世界ではオルタナティブ投資といいます。今回は、オルタナティブ資産の種類や個人投資家が投資をする意義について解説します。

  • オルタナティブ投資は株や債券と異なる値動きをしやすく、分散投資に有効
  • 不動産、コモディティ、インフラファンドは個人でもやりやすいオルタナティブ投資
  • 暗号資産(仮想通貨)や、先物・オプションなどの金融派生商品は投資上級者向け

オルタナティブ投資は「伝統的資産」の代替

オルタナティブは日本語で「代替」という意味です。オルタナティブ投資とは、伝統的資産と呼ばれる株式や債券以外の資産(オルタナティブ資産)に投資することをいいます。

オルタナティブ資産に注目が集まる理由は、株や債券とは異なる値動きをしやすいため、分散投資に有効な点が挙げられるでしょう。投資の世界では、投資対象の資産や地域、購入するタイミングを分散することが重要だといわれており、オルタナティブ資産にも投資対象を広げることで、分散効果を高められる点がメリットです。そのような特性から、オルタナティブ投資は、年金基金や保険会社の資産運用にも活用されています。

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個人でもできるオルタナティブ投資の種類

オルタナティブ資産とひと口に言っても、さまざまな種類の資産があります。未公開株のようにプロでなければ参加が難しいものから、不動産や金といった比較的、初心者でも投資をしやすいものもあります。

難易度別に個人投資家が投資できる各種オルタナティブ資産について解説していきます。

難易度★ 不動産(J-REIT・REITファンド)

オルタナティブ資産の中でも、古くから投資先として用いられているのが不動産です。

現物不動産は高額なため、億単位の資金を用意する必要があり、一部の資産家しか手を出すことができませんでした。近年は、不動産を小口証券化したREIT(リート)と呼ばれる資産が誕生したことにより、投資の裾野が広がっています。国内で上場しているJ-REIT(Jリート)は、株式と全く同じ手順で、証券会社で売買できます。

トラリピインタビュー

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さらに、投資信託やETFの仕組みを活用することで、米国など海外のREITにも少額で投資することが可能です。特に米国REITの投資信託は、一時期ほどの勢いはないものの今も根強い人気があります。

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不動産は比較的安定した賃料収入が期待できるうえ、株や債券とも異なる値動きをすることがあり、分散投資のひとつとして、資産運用への組み入れを検討してもよいでしょう。

難易度★ コモディティ(金、プラチナ、原油など)

金やプラチナなどの貴金属、原油などの資源は、投資の世界では「コモディティ」とも呼ばれるオルタナティブ資産のひとつです。特に貴金属は「有事の金」といわれることがあるように、金融危機や紛争のような有事に強いとされる資産です。

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近年、ウクライナ情勢の緊迫化によって資源価格が高騰し、物価の上昇にもつながっています。有事の際には株式や債券が暴落することも多いため、有事に強いとされる金などの資産は分散投資の対象としても有効といえます。貴金属や資源には投資信託やETFを通じて、個人でも手軽に投資できます。

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ただし、コモディティは株式や債券、不動産のように金利や配当が得られる資産ではありません。長期で保有していても値上がりしなければ利益を得られないので、この点には注意が必要です。金などの貴金属は「有事だから必ず価格が上がる」とは限らず、実際に2022年の春から秋にかけて、金価格は下落傾向にあります。また、原油などの資源は値動きが大きくなりやすいため、購入するタイミングを分散する積立投資を行ってもよいでしょう。

難易度★ インフラファンド

インフラファンドとは、太陽光発電所や再生可能エネルギー関連施設に投資をするファンドです。日本では2016年から取引が始まった新しい金融商品で、市場の拡大が期待されています。

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インフラファンドの魅力は、似た仕組みのJ-REITと比べて利回りが高いことです。2022年8月時点で、プライム市場の株式の平均利回りは2%台、J-REITは3%台ですが、インフラファンドは5%台となっています。あくまで現時点での傾向なので今後も続くとは限りませんが、利回り重視で投資したい方には、インフラファンドは魅力的な投資対象といえるでしょう。

難易度★★ 暗号資産(仮想通貨)

通貨とは国によって信認を得て、価値を持つものです。一方、暗号資産(仮想通貨)とは国などによって信認を得ていない新しい通貨の形で、ビットコインが代表的な暗号資産です。

国によって認められた通貨は、その国の経済情勢によって価格が変動します。例えばアメリカのドルであれば、アメリカの経済情勢や金利情勢などによって大きく変動することがあります。一方、暗号資産は国に属しているわけではないため、アメリカなど特定の国の影響を直接受けることはありません。そのため、暗号資産は株式や債券と異なる値動きをしやすく、伝統的資産との分散効果が効きやすいという特徴があります。

ただし、現時点では暗号資産は値動きが大きく難しい投資対象です。ビットコイン/円の価格は2021年秋のピークから、2022年夏には半額以下まで落ち込んでしまいました。投資初心者にとって、気軽に投資できる資産とはいえないでしょう。

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難易度★★★ 金融派生商品(先物、オプション取引など)

金融派生商品(デリバティブ)とは、先物取引やオプション取引、スワップ取引といった特殊な取引手法を用いた金融商品です。

たとえば先物取引は、投資対象が株式や債券であっても、「売り」から入ることができたり、レバレッジと呼ばれる仕組みで実際の株価の上昇を上回る利益を狙ったりできます。オプション取引も投資対象こそ伝統的資産ですが、その仕組みは非常に複雑です。

金融派生商品は、一般的に難易度もリスクも高い取引となりますので、上級者向けの商品といえるでしょう。

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