高い分配金利回りが魅力の高配当ETF。本記事では、なかでも東京証券取引所で気軽に買える国内の高配当ETFをまとめるとともに、各ファンドのパフォーマンスや利回りランキング、コストを比較します。
- 分配金利回りなら『MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信』
- パフォーマンスなら『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF』
- 低コストなのは『ダイワ上場投信-TOPIX高配当40指数』
※本記事は2021年1月末のデータを基に作成しています
高配当な国内ETF一覧
2021年1月末時点で、東京証券取引所に上場する配当にフォーカスしたETFは全10ファンド。比較のために『MAXIS トピックス上場投信』『MAXIS 日経225上場投信』を追加した計12ファンドを、分配金利回りが高い順に並べたのが下記の表です。
証券コード | ファンド名 | 分配金利回り | 信託報酬 (税込み) |
過去1年の 騰落率 |
運用会社 |
---|---|---|---|---|---|
1499 | MAXIS日本株高配当70 マーケットニュートラル 上場投信 |
3.89% | 0.440% | -10.2% | 三菱UFJ国際投信 |
1489 | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数 連動型上場投信 |
3.75% | 0.37125% | -3.5% | 野村アセット マネジメント |
1577 | NEXT FUNDS 野村日本株高配当70 連動型上場投信 |
3.48% | 0.37125% | -5.7% | 野村アセット マネジメント |
1651 | ダイワ上場投信- TOPIX高配当40指数 |
3.40% | 0.209% | -1.2% | 大和アセット マネジメント |
1494 | One ETF 高配当日本株 |
3.22% | 0.37625% | 0.97% | アセット マネジメントOne |
1698 | 上場インデックスファンド 日本高配当 (東証配当フォーカス100) |
3.15% | 0.408% | -6.66% | 日興アセット マネジメント |
1478 | iシェアーズ MSCI ジャパン 高配当利回り ETF |
2.99% | 0.209% | 3.88% | ブラックロック ・ジャパン |
2529 | NEXT FUNDS 野村株主還元70 連動型上場投信 |
2.66% | 0.36025% | -1.3% | 野村アセット マネジメント |
1490 | 上場インデックスファンド MSCI日本株高配当 低ボラティリティ (βヘッジ) |
2.45% | 0.595% | -14.18% | 日興アセット マネジメント |
1399 | 上場インデックスファンド MSCI日本株高配当 低ボラティリティ |
2.42% | 0.485% | -7.21% | 日興アセット マネジメント |
1348 | MAXIS トピックス上場投信 | 1.76% | 0.275% | 9.9% | 三菱UFJ国際投信 |
1346 | MAXIS 日経225上場投信 | 1.31% | 0.275% | 21.3% | 三菱UFJ国際投信 |
2021年1月末時点。各運用会社の月次報告書を基に編集部作成
分配金利回りで選ぶなら『MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信』
分配金利回りランキングの1位は、三菱UFJ国際投信の『MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信』です。
「マーケットニュートラル」とは、ヘッジファンドなどで使われる投資手法のこと。相場の上げ下げによる影響をなるべく減らし、常に一定の収益を上げることを目指す戦略です。従って同ファンドは、市場の動向にかかわらず、安定的な高い配当収入を狙うETFといえるでしょう。
2021年1月末時点の同ファンドの分配金利回りは3.89%で、決算頻度は1月、4月、7月、10月の年4回。1口から取引可能なので、最低投資金額が1万円以下と比較的購入しやすいのも嬉しいポイントです。
組み入れ銘柄の上位はトヨタ自動車(7203)、KDDI(9433)、日本電信電話(9432)、ソフトバンク(9984)、日本たばこ産業(2914)などです。
パフォーマンスで選ぶなら『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF』
分配金利回りだけでなくパフォーマンスも重視するなら、ブラックロック・ジャパンの『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF』が選択肢になるでしょう。
同期間の騰落率がマイナスになるファンドも多い中、『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF』はプラス3.88%のパフォーマンスを実現しました。
『iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF』が連動するのは、「MSCIジャパン高配当利回り指数」。日本の大・中型株を対象とした300~400銘柄から構成される「MSCIジャパン指数」の中から、配当利回りの高い30~100銘柄を抽出した指数です。
単に配当利回りが高いだけなく、配当の継続性やROEなども加味して銘柄選定する指数であることが、好パフォーマンス要因の一つでしょう。信託報酬が0.209%と、低コストな点も魅力です。
組み入れ上位銘柄は、パナソニック(6752)、セブン&アイHD(3382)、ブリヂストン(5108)、伊藤忠(8001)、トヨタ自動車(7203)など。ETFの分配金は2月と8月の年2回です。
低コストなのは『ダイワ上場投信-TOPIX高配当40指数』
なるべく少ないコストで配当収入を作りたい! という人は、大和アセットマネジメントの『ダイワ上場投信-TOPIX高配当40指数』に注目。信託報酬は0.209%と低コストながら、分配金利回りは3.4%と、今回比較したETFの中でも相対的に高い分配金利回りを実現しています。
『ダイワ上場投信-TOPIX高配当40指数』が連動するのは、「TOPIX高配当40指数」。東証一部上場銘柄の中でも特に時価総額と流動性の高い大型株100銘柄で構成される指数「TOPIX100」を母集団に、配当利回りの高い上位40銘柄を抽出した指数です。
分配金は2月、5月、8月、11月の年4回。組み入れ上位銘柄は、東京エレクトロン(8035)、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、KDDI(9433)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、本田技研(7267)など、金融系の企業が目立ちます。
REITや銀行銘柄にフォーカスしたETFにも注目
今回は配当にフォーカスしたETFを紹介しましたが、純粋にETFの分配金利回りのみを追求するのであれば、REIT(不動産投資信託)に投資するETFや、金融業界をテーマにしたETFも選択肢になりそうです。
たとえば、銀行銘柄ばかりを集めた野村アセットマネジメントの『NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信(1631)』の分配金利回りは10%を上回るなど、非常に高い利回りを実現しています。
一方、いくら分配金利回りが高くても、それ以上に基準価額が下落してしまえばトータルでマイナスとなってしまいます。高配当ETFに投資する際は、過去の基準価額の推移や連動する指数の性質などもチェックし、値下がりリスクにも配慮した銘柄選定を心掛けると良さそうです。