アフターコロナを生き抜く3つの不倒の心得

竹花さんは「4年間は潰れない会社に成長しても、いまだ危機感と警戒心を持っている」といいます。それを無くしては、会社はあっという間に潰れてしまうと警鐘を鳴らす竹花さんなのです。

いわく、倒れない会社になるために、経営者として必要な心得は3つ。

  1. 弱者の自覚を持て
  2. 経営戦略を学んで実践せよ
  3. 経営者の心を整よ

竹花さんは「野口会長は、口をすっぱくして、『経営者の心の甘えが、倒産を招く!』と警告していました。倒産の原因はいろいろあるとはいえ、すべては経営者の甘い考えに起因しているのです」と。

新しいNISAの“裏技”教えます! ニッセイアセットマネジメントの情報発信&資産運用アプリ

確かに!
不幸な出来事は、騙された、裏切られたと他人のせいにしたり、やれなんとかショックだ、なんとか不況だと世の中のせいにしたくなるけど、根本の原因は、騙されたり踊らされた自分が悪かったと自覚することなのですね。

「他人のせいにしてたら、再起はない」――これは竹花さんが野口会長から学んだこと。また竹花さんは経営戦略として、心がけてきたのも「弱者の経営戦略」であったといいます。

再起のイメージ
「他人のせいにしたら、再起はない」――これは竹花さんが野口会長から学んだことだ

経営戦略にもいろいろあるのですが、竹花さんは、弱者の経営戦略として、ランチェスター戦略(※イギリス人F.W.ランチェスターが提唱した「戦闘の法則」をビジネスに取り入れた経営戦略)の実践で知られる竹田陽一氏にも学びました。
それは、ひと言でいうと「戦わずに勝つ、小さな会社の経営戦略」で、小さな企業がいきなり大きなマーケットに出て勝負しても勝ち目はなく、自分に見合った小さい市場で勝負し、得意な分野で一番を目指すことをなのです。

その際、「できるだけ無駄な経費はカットし、借金を増やさないようにする」ことが大事だといいます。
それが自己資本を増やす一番大きな心得といえます。

竹花さんはさらに、江戸時代の思想家で魂の商人とされる石田梅岩の「商人道」で説かれた経営者の心得を三つ目の信条としています。

それは「利益を富に変換し、企業を永続させる」ということ。
企業にとって、利益は売上げから経費を引いた残りで、そこからさらに税金を払って、また借金も返す。

そのあとに残った分が純粋な利益で、それは自己資本になるものですが、多くの経営者は手元にお金を残すために、節税を一番に考えます。
「私が汗水垂らして手に入れたお金を何で、国に取られるんだ!」と。

しかし竹花さんは、「不倒」であり続けるために、あえて節税はしない
税金はしっかり払おうといいます。それが、富に変換することであり、企業を継続させる力になることだと。「野口会長もいってます。『経営の目的は社会への還元で、そのもっとも良い形が納税である』と!

納税は社会貢献
納税は社会への還元の最もいい形

いやはや、税金の納付のお知らせが来る度に、痛いなあなんて思ってるうちは「不倒」の域には達しそうもありません。それこそ、甘さの表れなんだなと、反省しきりです。

「無駄な節税、無理な節税は野口会長のいうまさかの備えに適うものではないのです」という竹花さんの言葉、深いなあと思いました。
潰れないか会社の屋台骨を強固にするには、健全な経営とはなんなのか?

これは経営者のみならず、人として生きて行くうえでも大事な心構えだと思いましたね!

心の再生は受け入れて変わることが大事!

さて、最後に一番大事な心の再生について、竹花さんに聞きました。
「八起会では野口会長を始め、倒産を経験した方々の人生にたくさん接してきました。それは地獄です。その苦しみ・痛みをたとえたら『腹の中を鉄棒でひっかき回される苦しみ』だと教えられました。でも、奈落の底から這い上がって、再びの人生を歩んだ人は、心の再生ができた人です」

そこにも3つのポイントがあって

  1. すべて自分の責任である自覚をもつこと
  2. 家庭を大切にできること
  3. 小さなしあわせに気づくこと

経営者として一度は成功し人の上に立った人間は、つい傲慢になって、舞い上がってしまい、基本的なことを忘れてしまうといいます。
一度手にしたアッパーな生活が忘れられず、見栄を張り続けると、肝心な心の再生はおろそかになって、仮に運良くカムバックしても、また同じ轍を踏んでしまいがちなのだとか。

それは、自分の置かれている状況にあわせて、受け入れ、変化を遂げていかれる人なのかとも思います。

「八起会のメンバーは、結構年配者も多く、アナログ人間も少なくなかったのですが、コロナ禍の状況で、セミナーや会合をリモートにしたら、皆、さっと切り替えることができて、ああ、我々の仲間は、時代に適応してフレキシブルに生きる術を身につけた人たちの集まりであった」と、竹花さんは感心したそうです。

そして、「会の運営も経費がかからず、リモートでも人と人はしっかり繋がって支え合っていけるものです。これも不倒において大切なことです」と。

リモートで会議をする人
「リモートでも人と人はしっかり繋がり支え合える」と竹花さんは語る

いやはや、竹花さんのお話を聞いて、アフターコロナではどう生きて行こうか?
自分の人生をマネジメントしていく上で、いろいろなヒントがたくさんもらえました。

どんなまさかがあっても、心が折れない人間に。
心を頑丈に整えて!
そして、なにより強がらなくても「弱者だ!」という自覚を持ってみると、なんだか、肩がほぐれて、呼吸がしやすくなりました。
身の丈以上に頑張り過ぎず、地道に、諦めず、奢ることなく、油断はしないで、お金の使い方も変えていきたいと思います。

八起会

自ら会社を倒産させた経験をもつ実業家・野口誠一氏が1978年に創設した。当初は倒産経験者同士が助け合うことが目的であったが、「倒産110番」の電話相談や、野口会長の講演活動などを通じて、現役経営者も集う学びの場になった。

失敗からの再起術—七回転んでも八回起きろ。の書影

八起会の創立者、野口誠一氏の著書は23冊あり、その中の1冊。
「失敗」からの再起術―七回転んでも八回起きろ。』(大和出版刊)
※Amazonなどで購入可能です。

不倒会

竹花利明さんが講師を務め、経営における「失敗の原因」を明らかにし対処し、「失敗しない経営、倒産しない経営」を学び実践する八起会の活動。現在は主にZOOMで行っている。

メルマガ会員募集中

ESG特集