マントルが液体となる3つの条件
地球の内部ではマントルがゆっくりと対流によって動いています。マントル自体は主にかんらん岩質の岩石からできていますが、対流によって上昇すると溶けて液体になります。マントルが液体となる条件は3つあります。
一つは温度の上昇です。地下深いところで温度が高くなりマントルが溶け出します。二つ目は低圧力です。圧力は地底の深さとほぼ正比例し、圧力が低いほど低い温度でマントルは溶解します。三つ目が水の添加です。マントルを構成しているかんらん岩は高圧下で水を多く含む時に溶けやすくなります。
地表のプレートはマントルの対流に乗って動きます。大陸プレートと海洋プレートが収束するプレートの境界線では、海洋プレートが大陸プレートの下に年間4センチから8センチのスピードで沈み込んでいます。この時に地殻の一部や海水が一緒に引き込まれます。
海洋プレートが地下150キロメートル程度まで沈み込むと、圧力は4万気圧、温度は1500度にも達します。マントルを構成するかんらん岩は、水を含んだ高圧下で溶けやすくなるため、この地点まで到達すると溶け始めます。
部分的に溶け出したマントルは、密度とつり合うところまで地底を上昇してゆき、さらに高温によって地殻の一部が溶け出して、それによってマグマが形成されます。
マグマが泡立ち、冷えて固まったものが軽石
マグマが溜まって「マグマだまり」が地表の近くに形成されると、蒸発しやすい成分が次第に分離されてゆき、残ったマグマが何らかのきっかけで噴出し、溶岩となって地表に流れ出して火山岩となります。これが火山の噴火です。
噴火の規模や噴煙の高さは、マグマの流動性と揮発性成分(蒸発しやすい成分)の量で決まってきます。流動性の大きなマグマは揮発性成分が抜け出しやすく、大きな爆発には至らないまま溶岩だけが流れ出します。反対に、揮発性成分が多く含まれるとより大きな爆発を伴う噴火となります。
噴火でマグマが火道を上昇する際に、地表に近づくにつれて圧力が低下して泡立ち始めます。これが冷えて固まったものが軽石となります。軽石は火道を上昇する間に砕かれて小さくなり火山礫(れき)や火山灰と変わります。今年8月の小笠原諸島の海底火山の爆発では、火山灰とならずに軽石のまま大量の噴出物として流れ出したと考えられます。
これらが火山の爆発によって火山ガスとともに吹き上げられたものが「噴煙柱」です。上昇しきれずに途中で落下して火山の斜面を水平方向に流れ下ったものが「火砕流」となります。マグマが噴き出さずに地下でゆっくりと冷えると、そのまま固まって深成岩や半深成岩を形成します。
「マグマだまり」から一気に噴出する噴火
ここからもわかるように、火山はマグマの活動によって形成されます。地中深くにあるマグマが地表近くに移動するに際して、溶岩や火山灰などの火山噴出物となって現れるのが火山活動です。火山が存在する場所には必ず地下に大量のマグマが存在しており、あるいはかつて存在していたことになります。
マグマは地球内部の岩石が溶けてできたものです。およそ800~1200度ほどの高温の液体で、地下の深い部分の岩石よりも密度が小さいので、次第に上昇してゆきます。地下5~10キロメートルまで上昇すると周囲の岩石との密度がつりあい、マグマが蓄えられて「マグマだまり」となります。
マグマには水や二酸化炭素など気体になりやすい成分が含まれており、これらが膨張するとマグマだまりの圧力が上昇します。あるいは地下水がマグマに触れると水蒸気となり、体積が急激に膨張します。こうして岩盤を突き破ってマグマだまりから一気に噴出する現象が火山の噴火です。爆発の勢いとともに噴石や火山灰を飛ばします。
マグマと溶岩は、どちらも岩石が液体状になったものであり同じものと誤解されがちですが、厳密には区分して考えられています。
マグマは、地下深いところで岩石が溶けて火道を上昇してくるものとされています。このようなマグマのうち、蒸発しやすい成分が気体となって分離し、残った液体の部分が冷えて固まったものが溶岩です。マグマは地中のマグマだまりに蓄えられるもので、そこから地表に現れて噴出したものが溶岩です。
マグマという膨大なエネルギーを山体の内部に潜ませて活動する火山は、地球が生きて活動していることを証明しています。