テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず! 
連載第48回は、『めちゃめちゃイケてるッ!』『和風総本家』『ポツンと一軒家』などを手掛ける、放送作家の伊藤正宏さん。

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睡眠時間が増え、夫婦仲も円満に?

伊藤正宏さんの写真
伊藤正宏
放送作家
日本放送作家協会会員

リモート会議の時代が始まって600日ほどが過ぎた。しかも正月だ。ちょうどいい機会なので、放送作家にとってのリモート会議、そのメリット/デメリットについて考えてみる。
まずは、リモート会議のメリットから。

①会議の数を極限まで増やせる
移動時間が要らないので、例えば1時間の会議なら、3時間で3個までスケジュールを組める。とても助かる!

②空き時間を有効に使える
仕事柄、会議の合間に無駄な空き時間ができがち。対面の場合は、短時間ならカフェで仕事して、長時間なら映画を見たりしてきたが、リモートの場合は、布団で仮眠だって出来る!

③家族(やペット)との交流が増える
妻や子供の顔を見る時間や回数が明らかに増える。結果として、良いことばかりじゃなく夫婦喧嘩も増えたりするが、同時に、妻に土下座して謝るチャンスも増える!

④会議中の資料検索が充実する
資料検索はモバイル環境よりも、最速ネット環境&大型モニタの方が絶対的に便利。とくに年齢のせいで物忘れの多くなってきた私には、とても助かる!

⑤寝起き0分で会議に出られる
これも、嬉しい。逆に、会議が終わったら0分で寝ることも出来る。結果として、毎日の睡眠時間が合計1~2時間を確実に増やせる!

⑥地方局の会議も楽勝
当然だけど、飛行機や新幹線に乗ることなく、地方局の会議にも簡単に出られる!

ベッドでリモート会議の画像
リモートなら会議の合間に仮眠もできるし、寝起き0分で会議に出られる

以上が、メリット。かなりいいこと尽くめだが、もちろんデメリットもある!

雨の日はリモート難民になることも!

①運動不足になりがち
どうしても、そうなる。スマホの歩数履歴を見て凹むことも多い。

②移動時間ゼロの盲点
移動時間ゼロだからといい気になって、早朝から深夜まで会議を入れ過ぎると、疲れ方がハンパない。私の場合は、年齢のせいかもしれない。

③モニター調査の機会が減る
大人数の対面会議だといろんな性別や年齢の参加者がいるので、自分や他人の発言がどんなタイプの人間に刺さっているか(or いないか)のモニター調査にもなっていた。が、最近の大人数リモート会議では、スタッフの多くがミュート&カメラオフなので、リアクションがまったくわからない。これ、とても残念!

④「少人数雑談」の絶滅
一時期、リモートになると「会議中の雑談」が減ると言われたが違った。リモートだろうが対面だろうが、雑談の量や質はあまり変わらない。リモート会議での雑談の量は、あくまで喋る人間のキャラクター次第だなぁ、と思う。
それより大事なのは「少人数雑談」が消えたこと。例えば、若いディレクターに「彼の編集したVTRについての質問」を投げてその返事だけ聞きたい時とか、プロデューサーに「番組の心配事」について冗談交じりに質問をぶつけてみたい時とか、3人ぐらいで「企画の種になりそうなこと」についてボソボソ話したい時など、会議全体で話す必要はないけど、できれば話しておきたい雑談のチャンスが激減した。旧知の人間ならSNS等を使うが、まだ親しくない相手だとなかなか難しい!

⑤座る位置を変える作戦が出来ない
問題を抱えた会議の打開策として私は、毎回自分の座る位置を変えたりすることがある。要するに、会議の空気を変えたり、会議の中心地を動かしたりしているのだが、この作戦、リモートではまったく使えない!

⑥会議前後に情報交換ができない
これは、会議直接じゃないけど、会議の前後や会議室に入る前後に、前日のテレビ番組や業界のことについて、同業者と気軽に話をする機会が減った。これはこれで困る!

⑦混在するとピンチ
これが一番困っているかも。一日の間に、リモート会議と対面会議が混在すると、とても困る。聞かれたくない内容も多いので、リモート会議のための場所選びが難しい。とくに雨の日は屋外が使えず、リモート難民になることも!

リモート会議で困る画像
ただし、リモート会議では運動不足になりやすく、疲れ方もハンパない

正直、いいこと尽くめだと思ってたリモート会議だが、改めて考えてみると、失うものも多い。リモート会議は大好きだし便利だけど、たまには対面会議もやらなきゃなぁと思った、2022年正月だ。と、書いたばかりだけど、またまた暴れてきてるなぁ、コロナさん。さて、どうなる?

次回は脚本家の久松真一さんへ、バトンタッチ!

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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