4月も目前となり、新社会人としての生活が幕を開けようとしている人も多いでしょう。社会人になると、今まで意識しなかった制度や税金に触れる機会も増えていきます。今回はその中でも身近な存在になる、「控除」について解説します。
- 給与から引かれる控除には、大きく社会保険料と税金がある
- 社会保険料には、健康保険、年金保険、雇用保険の他、40歳以上は介護保険料もある
- 税金には、所得税と住民税があり、住民税の徴収は社会人2年目から
給与における「額面」と「手取り」の違い
就職にあたり、雇用契約書などを確認し、月収額はこれくらいだという把握はしていることでしょう。それを参考に、大きな買い物の予定を立てている人もいるかもしれませんね。しかし、その金額がそのまま手元に入ってこない場合もあります。
給与には「額面」と「手取り」の違いがあります。額面とは、基本給与に通勤手当や残業手当などの会社からの手当がプラスされた「会社から自分に支払われる総額」のことをいいます。ここから、社会保険料や税金などが差し引かれることになります。この差し引かれるお金を「控除」といい、控除をした後の金額が実際の受け取り額である「手取り」といいます。
この違いを把握しておかないと、思っていたより受け取り金額が少なくて驚くかもしれません。
給与から引かれる「控除」の種類
では、給与から引かれる控除について詳しく見ていきましょう。控除には大きく、社会保険料と税金の2種類があります。
社会保険は、病気やケガをした時や、介護を受ける必要が出た時などに利用できる公的制度の総称です。新社会人になると、健康保険・年金保険・雇用保険の3種類について、保険料が控除されます。
健康保険
健康保険は、病気やケガで病院を受診する際などに利用するものです。会社に入ると、基本的には協会けんぽなどの健康保険に新しく入り直すことになります。以降、健康保険料は給与から天引きされるようになります。そうすると新しい保険証を受け取って使うことになりますので、健康保険証の使い間違いには気を付けましょう。
年金保険
年金保険は、老後や障害を負ったなどの要件を満たした場合に、対応する給付金を受け取れるものです。20歳を超えてから、国民年金の保険料を納めている方もいるでしょう。会社勤めを始めると、基本的に厚生年金に切り替わることになります。
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した際や出産・育児で休業している際などの生活を支える制度です。週に20時間以上労働する場合は、雇用保険に加入することになり、保険料が徴収されます。
また、40歳を超えると介護保険料の徴収も始まります。新社会人の方にとっては先のことになりますが、覚えておいてくださいね。
さらに、受け取る給与には税金もかかるので、これも控除されます。税金には2種類があります。
所得税
所得税は、収入に対してかかる税金です。所得が大きくなるほど徴収される税金も大きくなる、累進課税というしくみになっています。1年分の所得で税額が確定するため、支払額が足りない場合は追加で支払いが、多かった分は払い戻しが発生します。生命保険や地震保険に入っている場合や、住宅ローンを組んでいる場合、その支払額が所得から引かれ、結果として支払う税金が軽減されることもあります。これらの調整を「年末調整」と言います。
住民税
住民税は、住んでいる自治体に納める税金です。所得税と同じく、収入に対してかかる税金ですが、こちらは前年の収入が対象になっています。そのため、1年目は徴収されず、2年目から徴収が始まります。
上記に加えて、社員旅行に行くための費用として「積立金」や、給与から天引きをして金融機関へ貯蓄する財形貯蓄制度を利用する人は「財形貯蓄」が差し引かれる場合もあります。
もしもの時に利用できる公的制度の把握を
このように、社会人になると様々な保険料や税金を支払うことになります。決して軽くはない負担ですが、それによって、様々な場面で公的制度を利用できるようになります。もしもの時にどんな制度を利用できるのか、公的制度の解説記事もありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。