全世界的には人口はどんどん増えており、将来的にあらゆる資源が不足する可能性があります。人口が増えるほど枯渇が懸念される資源のひとつが「水」でしょう。水は飲料水だけでなく、農業や工業などさまざまな用途で必要です。しかし、危機があるところには、ビジネスチャンスがあるもの。3月22日の「世界水の日」も近いということで、今回は水をテーマとする投資信託をご紹介します。

  • 「水不足」は全人類の課題。水は経済活動のために欠かせない資源
  • 現時点では、水問題に特化した投資信託が4種類、計6本運用されている
  • 2023年4月、『世界水資源関連株式ファンド』が新たに設定された

「水不足」は発展途上国だけでなく、全人類の課題

日本で暮らしていると、水が不足して生活ができなくなることや、水が原因で命を落とすことはあまり考えられないかもしれません。しかし、アフリカなどの発展途上国では、安全な水を確保することが非常に困難な地域も多くあります。

水は人類が生きていくために必要不可欠な資源であり、国防の観点からも安全な水の確保が重要視されています。今後、世界的に水不足が発生した場合、世界中で水資源の取り合いが発生する可能性が示唆されている状況です。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

水不足の解消は経済活動の活性化や食料の安定供給に欠かせません。上下水道が整備されていない地域では、水汲みという労働が発生し子どもが十分な教育を受けられなかったり、女性の社会進出が困難になったりする弊害があります。

また、農業用の水が十分に供給されない場合には、食料を安定的に供給できません。水はすべての経済活動を活性化させるために欠かせない資源なのです。

「水」をテーマとする投資信託

現在、日本には水問題に特化した投資信託が4種類、計6本存在します。SDGsや環境問題全般を対象とする投資信託に比べると、まだ投資信託の数は少なく純資産も少なめですが、これから注目が高まっていくテーマかもしれません。

水関連の投資信託について以下の表にまとめました。

トラリピインタビュー

投資信託名 純資産総額
(億円)
1年
リターン
3年
リターン
設定来
リターン
信託報酬
(年率・税込み)
設定日 運用会社
世界水資源関連
株式ファンド
49 21.9% 実質
1.937%程度
2023/4/3 大和アセット
マネジメント
三菱UFJ
グローバル・エコ・
ウォーター・ファンド
(愛称:ブルーゴールド)
46.8 23.7% 66.2% 164.4% 実質
1.8%程度
2007/7/27 三菱UFJアセット
マネジメント
ワールド・ウォーター・
ファンド Aコース
23.4 4.1% 8.4% 327.1% 1.87% 2004/3/26 野村アセット
マネジメント
ワールド・ウォーター・
ファンド Bコース
117.0 24.0% 59.3% 627.8% 1.87% 2004/3/26 野村アセット
マネジメント
野村アクア投資
Aコース
7.5 3.2% 4.7% 137.8% 1.76% 2007/8/29 野村アセット
マネジメント
野村アクア投資
Bコース
100.9 22.5% 52.5% 202.5% 1.76% 2007/8/29 野村アセット
マネジメント

※データは2024年1月31日時点、以下同様

世界水資源関連株式ファンド

大和アセットマネジメントの『世界水資源関連株式ファンド』は、2023年4月3日に設定された、現時点では最も新しい水関連の投資信託です。

設定来の累積リターンは、2024年1月末時点で21.9%。運用開始から約10カ月なのでほかのファンドと比較するのは難しいですが、上の表の「1年リターン」の数字と比較すると、遜色ない実績といえるでしょう。

『世界水資源関連株式ファンド』の投資テーマは、「水インフラ」が46.1%と半分近くを占めています。水インフラ関連企業には、例えば水道の配管を手がける企業などが含まれます。このほか、「水処理・効率化」の企業に33.1%、「水道事業」に19.5%の比率で投資しています。国別割合では米国が49.3%、英国が14.6%を占めていますが、組み入れ上位銘柄にはフランスやスイスの企業も含まれています。

ファンドの実質的な運用は、ESG(環境・社会・企業統治)関連の大手運用会社で、世界初の環境関連株式指数を開発したインパックス・アセット・マネジメントが担っています。同社はBNPパリバ・アセットマネジメントから出資を受けている、英国を拠点とする運用会社です。

『世界水資源関連株式ファンド』を取り扱う金融機関は、現在のところ大和証券のみです。

三菱UFJ グローバル・エコ・ウォーター・ファンド(愛称:ブルーゴールド)

三菱UFJグローバル・エコ・ウォーターファンド(愛称:ブルーゴールド)』は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託です。2024年1月末時点で、2007年7月の設定来の累積リターンは+164.4%となっています。

『ブルーゴールド』が投資対象としている企業はアメリカやイギリス、フランスなど欧米の国が多く、通貨も米ドル・英ポンド・ユーロなど適度に分散されている印象です。組み入れ銘柄の業種別比率は、「水インフラ」が40.2%、「公益事業」が31.0%、水処理技術が25.9%などとなっており、水に関するさまざまな分野へ投資をしています。為替ヘッジを行わないため、為替変動の影響を受けやすいことには注意が必要です。

取り扱い金融機関は三菱UFJアセットマネジメントのグループである三菱UFJ銀行やネット証券大手のSBI証券、楽天証券など。今回紹介する中では、最も取り扱い金融機関が多い投資信託です。

ワールド・ウォーター・ファンド

『ワールド・ウォーター・ファンド』は、野村アセットマネジメントが運用する、2004年3月設定の比較的古いファンドです。為替ヘッジを行うAコースの2024年1月末時点での累積リターンは+327.1%、為替ヘッジを行わないBコースは627.8%と、確実に実績を上げているファンドだといえるでしょう。

投資対象は欧米を中心とした水関連の企業ですが、米国株式および米ドルの比率(Bコースのみ)が、先ほどの『ブルーゴールド』より高くなっています。業種別では「装置製造・エンジニアリング関連」に60.7%、「環境マネジメント・サービス」に20.6%、「上下水道ビジネス」に16.9%となっており、安全な水の供給に寄与する企業に投資をしています。

現在『ワールド・ウォーター・ファンド』を取り扱っている金融機関は、野村證券のみです。Aコースは為替ヘッジを行うコースですが、為替ヘッジを行わないBコースの方が純資産を多く集めています。現時点での累積リターンもBコースの方が高くなっていますが、今後、為替の影響をできるだけ受けずに水関連の企業に投資をしたいという方は、Aコースを選択するとよいでしょう。

野村アクア投資

『野村アクア投資』は、『ワールド・ウォーター・ファンド』と同じく野村アセットマネジメントが運営するファンドで、設定は2007年8月29日です。

為替ヘッジを行わないBコースの2024年1月時点での設定来累積リターンは+202.5%で、近い時期に設定された『ブルーゴールド』を上回っています。ただし、直近3年のリターンは52.5%で、同じ期間で59.3%の運用益を出している『ワールド・ウォーター・ファンド Bコース』より低くなっています。

直近では「建設・エンジニアリング関連」と「水質・分析」が主な投資分野で、それぞれファンド全体の33.9%、33.0%と多くの資金を投じています。他にも「水処理」に21.8%、「施設運営」が8.3%と、水関連のさまざまな企業にバランスよく投資を行っています。

『野村アクア投資』も現時点では野村證券専用の投資信託で、Aコースが為替ヘッジあり、Bコースが為替ヘッジなしです。

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