民間の医療保険は、自分が加入したいと思ったタイミングで、必ず加入できるわけではありません。医療保険の加入時には、病歴や現在の健康状態などを告知する義務があり、希望しても加入できない場合や通常よりも割高の保険料を支払わないといけない場合もあります。今回は医療保険に加入できないケースとその時の対策について解説します。
- 医療保険は誰でも加入できるわけではなく、持病や職業で加入が制限される人もいる
- 加入が制限される場合は、引受基準緩和型の医療保険を検討したい
- 月々の保険料は割高になるが、既往症があっても生涯の医療保障を確保できる
本当に必要? 民間の医療保険
日本の公的医療保険制度は非常に充実しており、収入が比較的多い人でも医療費の自己負担額は最大で3割までで済みます。また、自己負担額が大きくなり過ぎないようにする仕組みとして、高額療養費制度も整備されています。そのため、民間の医療保険は、必ず加入すべきものというわけではありません。民間の医療保険には加入せず、医療費は公的な制度と貯蓄で賄うという考え方も十分に合理的だと思います。
とはいえ、入院する際、もし個室を希望するなら差額ベッド代が自己負担額として発生します。また公的な医療保険制度が適用されない最先端の治療もあります。高額療養費制度があったとしても、治療そのものが長引けばその分、収入も蓄えも減っていく可能性もあります。安心して治療に専念するためにも、医療保険を検討したいものです。
これまで医療保険は、入院日数に応じて保険金が払われるものが主流でしたが、入院の短期化などの影響で、入院日数にかかわらずまとまった金額が一時金として支払われるタイプの医療保険が昨今の主流です。さらにガンなど特有の疾病に対処するもの、女性疾患に対処するものなど、各社が工夫を凝らした商品を発売し、民間の医療保険市場はまさに百花繚乱の様相を呈しています。
医療保険に加入できない人はどんな人?
医療保険へ加入する際には、健康状態や職業を告知する必要があります。その内容によっては、医療保険の加入を断られたり、制限が発生したりする場合もありえます。どのような方が医療保険に加入できないのでしょうか。
まず問題になるのは、持病などで健康状態が良くない方です。頻繁に入院するような重い持病を持っている方は、医療保険に加入できない可能性が高いでしょう。ただし持病があっても、必ず医療保険に加入できないわけではありません。保険会社によっても加入条件は異なりますので、事前に加入条件を確認しておきましょう。
また、加入制限を受ける可能性のある職業としては、スタントマンやテストパイロット、爆破作業者など著しく身体の危険が伴う職種や、保険会社によっては警察官や消防士、自衛隊員なども審査において加入を制限される可能性があります。加入制限を受ける職業については、保険会社や保険種類による違いもあるため、加入を希望する保険会社に確認する必要があります。
引受基準緩和型という選択肢
病歴や健康上の問題などで、医療保険への加入が難しい方でも加入できるものが、引受基準緩和型の医療保険です。引受基準緩和型の医療保険は、健康面や職業面の審査基準が、通常の医療保険よりも緩和されています。そのため、過去に病気をした方や持病がある方、危険な職業に就いている方でも、加入しやすい点が特徴です。
しかし、引受基準緩和型の医療保険は、通常の医療保険よりも毎月の保険料が高く設定されているため、その分保険料の負担が割高になります。また加入後一定期間は、給付金が減額される商品もあるようです。
引受基準緩和型の医療保険は、こうした一定の制約があることは理解して契約しましょう。
引受基準緩和型医療保険3選!
引受基準緩和型の医療保険を3つご紹介します。
メディケア生命『メディフィットRe(リリーフ)』
『メディフィットRe(リリーフ)』は、お手頃な保険料で持病がある方や過去に入院・手術を経験した方でも、比較的加入しやすい引受基準緩和型の医療保険です。支払削減期間がなく、初年度から給付金・保険金を全額支払われる点も特徴です。
アクサダイレクト『はいりやすい医療』
『はいりやすい医療』は、高血圧、糖尿病、上皮内がん、緑内障、うつ病などで投薬・治療中の人でも申し込める引受基準緩和型の医療保険です。入院費と手術費のどちらも基本保障でカバーされる一方で、「先進医療」の保障など、少し手厚く備えたい場合は必要な分だけ保障を追加できます。保険料が手ごろなのも魅力。
メットライフ生命『マイフレキシィゴールド』
『マイフレキシィゴールド』は、ずばり持病がある人のための医療保険。5年間健康に過ごせたら、10万円の給付金を受け取れる点が特徴です。保障内容も細かく自分で選択できるため、ライフプランに合わせて契約できます。
やっぱり加入しておきたい医療保険
医療保険は、病気や怪我などで高額な治療費がかかった場合や、長期間仕事ができなくなった場合などに、保険金を受け取るために加入するものです。
十分な貯蓄がある方は、必ずしも加入する必要はありませんが、どのような方でも病気や怪我のリスクがゼロではありません。可能であれば、医療保険に加入してリスクに備えるべきです。既往症がある方でも、引受基準緩和型の医療保険であれば加入できる可能性があるため、あきらめずに探してみましょう。