金融リテラシーとは、お金に関する知識や判断力を指します。金融リテラシーが高くなると、適切な家計管理や将来設計ができ、自分にふさわしい金融商品・サービスを選択できるようになるため、資産を増やせる可能性が高まります。金融リテラシーの有無で、生涯年収や暮らしの豊かさが大きく変わることでしょう。今回は、豊かな人生に欠かせない金融リテラシーについて解説します。

  • 金融リテラシーが高まると家計管理が上手くなり、資産の増加が期待できる
  • 金融トラブルに遭ったときにしかるべき人に相談できるのも金融リテラシーの一つ
  • 目的を明確にし、自分に合った方法で学習するのが金融リテラシーを高める近道

そもそも金融リテラシーとは?

ニュースや報道などで昨今、「金融リテラシー」という言葉を目にする機会が増えました。その背景には、金融リテラシーの向上に国を挙げて取り組む機運が高まっていることがあります。

金融庁は、8月末にまとめた2022事務年度金融行政方針で、「国全体として、中立的立場から、資産形成に関する金融経済教育の提供機会に向けた取組みを推進するための体制を検討する」と明記し、国民の金融リテラシー向上に国を挙げて取り組むことの必要性を提言しました。

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

投資先進国といわれる米国や英国などに比べると、個人資産に占める預貯金の割合が高い日本は、金融リテラシーが高まりにくい環境といえるかもしれません。しかし、日本全体で2000兆円を超える個人金融資産の多くを預貯金で眠らせておくのは、個人にとっても、企業や国にとっても大きな機会損失といえます。

そこで、政府は国民が個人金融資産の一部を投資に回すことで日本経済を活性化させ、老後の資産形成を国民一人ひとりが実現できる社会を目指すべく、国を挙げて「貯蓄から投資へ」の流れを促しているのです。

いまさら聞けない!? 金融リテラシーってなに?

金融リテラシーを身につけることのメリット

私たちが金融リテラシーを高めると、どんないいことがあるのでしょうか? 例えば、家計の管理がうまくできるようになり、無駄づかいが減って余裕資金が増えるかもしれません。それだけでなく、いまある資金を上手に運用することによって、将来的に資産を増やすこともできるかもしれません。

金融リテラシーを高めるには、「投資」について正しく理解することが大切です。株式や債券、投資信託など、金融商品の特徴やリスクについて学ぶ必要があります。自分のライフプランに沿った適切な金融商品を選択できれば、将来に向けて効率的に資産を増やすことにつながるでしょう。若いうちから金融リテラシーを身につけることで、生涯にわたりお金といい関係が築けそうです。

お金とのいい関係を築く
若いうちから金融リテラシーを身につけると、生涯にわたりお金といい関係が築けそう

知らないと損する? 最低限身につけておきたい金融リテラシー

金融庁は、国民が身につけておきたい金融リテラシーとして4分野15項目を挙げています。金融庁が挙げている項目は以下の通りです。

【最低限身に付けるべき金融リテラシーの4分野・15項目】
①家計管理

(1) 適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)の習慣化

②生活設計

(2) ライフプランの明確化及びライフプランを踏まえた資金の確保の必要性の理解

③金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択

(3) 契約にかかる基本的な姿勢の習慣化

(4) 情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できる者であるかどうかの確認の習慣化

(5) インターネット取引は利便性が高い一方、対面取引の場合とは異なる注意点があることの理解

(6) 金融経済教育において基礎となる重要な事項(金利(単利、複利)、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターン等)や金融経済情勢に応じた金融商品の利用選択についての理解

(7) 取引の実質的なコスト(価格)について把握することの重要性の理解

(8) 自分にとって保険でカバーすべき事象(死亡・疾病・火災等)が何かの理解

(9) カバーすべき事象発現時の経済的保障の必要額の理解

(10) 住宅ローンを組む際の留意点の理解

①無理のない借り入れ限度額の設定、返済計画を立てることの重要性
②返済を困難とする諸事情の発生への備えの重要性

(11) 無計画・無謀なカードローン等やクレジットカードの利用を行わないことの習慣化

(12) 人によってリスク許容度は異なるが、仮により高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことの理解

(13) 資産形成における分散(運用資産の分散・投資時期の分散)の効果の理解

(14) 資産形成における長期運用の効果の理解

④外部の知見の適切な活用

(15) 金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に活用する必要性の理解

金融庁「最低限身に付けるべき金融リテラシーの4分野15項目

金融リテラシーというと、どうしても投資や資産形成に関する知識や理解、と思うかもしれません。しかし、15項目を見てみると、家計やライフプラン、保険の必要性、さらには(11)の無計画にローンを組まないことの重要性や、(4)の情報入手先や契約の相手が信頼できるかどうかの確認の習慣化など、無計画な借金や金融トラブルを事前に回避する知識や理解が含まれる点が大きなポイントです。

資産運用に必要な「貯める力」と金融リテラシー

また、万一、金融トラブルに遭ってしまったときには、(15)にあるように一人で悩まずに外部の専門家、例えば消費者庁の消費ホットライン(118番)に電話したり、弁護士やファイナンシャルプランナーに相談することで、事態の悪化を防ぐ判断力を持つことも重要な金融リテラシーなのです。

金融リテラシーを高めるための3つのポイント

ここでは、金融リテラシーを高めるためのポイントを3つ紹介します。

Point1:目的を明確にする

2022年から高校1年生の家庭科の授業で金融教育が取り上げられるようになりました。以前に比べると、金融教育は一般的になってきたといえるかもしれません。

とはいえ、普段仕事で忙しい社会人が金融リテラシーを身につけるための勉強時間を確保するのは難しいかもしれません。その場合、まずは具体的な目的を明確にしたほうが始めやすいかもしれません。

家計管理をしっかりするため、資産運用で利益をあげるため、5年後にマイホームを買うためなど、目的は何でもいいでしょう。「どうして金融リテラシーを高めるのか?」という自分なりの目的を明確にすることで、具体的に何をいつまでに学習するか明確にできます。

目的を明確化する
金融リテラシーを高めるためには、まず高める目的を明確にすること

Point2:自分にあった学習を心がける

一口に金融リテラシーといっても、年齢や家族構成によって学ぶべき事項は大きく異なります。すべての情報を得るのではなく、自分に合った情報を得ることが大切です。その手掛かりになるのが、やはり知るぽるとが公表している「金融リテラシー・マップ」です。

これは金融庁が定める「最低限身に付けるべき金融リテラシー」を、年齢層別に、体系的かつ具体的に記したもの。小学生・中学生・高校生・大学生・若年社会人・一般社会人・高齢者というカテゴリーに分け、それぞれの年代で必要になる金融リテラシーを金融庁が定める4分野15項目ごとに紹介しています。

もちろん必要になる金融リテラシーは各個人によって異なりますが、自分に合った学習を行うための手掛かりとして、一度確認してください。

知るぽると「金融リテラシー・マップ」はこちらから

Point3:正しい情報を収集する

情報収集する際は、正しい情報を収集することが大切です。例えば、金融庁や知るぽるとでは、金融リテラシーの向上に役立つさまざまな情報を提供しています。また、金融機関や自治体などが行っているセミナーでも、情報収集ができるでしょう。もちろんMonJaでも、金融リテラシーの向上に役立つ情報を発信していきますのでぜひ活用ください。

「すべての情報は疑え」。情報過多時代の資産形成術

メルマガ会員募集中

ESG特集