日本の上場株式を対象にした代表的なインデックスとして、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価指数(日経225)、JPX日経インデックス400があります。それ以外にTOPIXでは、投資対象を絞り込んだ「TOPIXニューインデックスシリーズ」として9種類のインデックスがあります。今回は9種類の中から、大型株で構成された「TOPIX Core30」というインデックスについて見ていきます。
- TOPIX Core30は日本の超大型株30銘柄で構成された株価指数
- 定期的な見直しにより、Core30では売買が活発に行われている銘柄を採用
- 過去5年間ではTOPIX Core30が、TOPIXを上回って推移した
TOPIX Core30とは
東証規模別 株価指数 |
TOPIXニューインデックスシリーズ | |||
---|---|---|---|---|
大型 | Core30 | TOPIX100 | TOPIX500 | TOPIX1000 |
Large70 | ||||
中型 | Mid400 | - | ||
小型 | Small | TOPIX Small500 | ||
TOPIX Micro Cap |
TOPIX Core30は、上の表を見て想像できるように、大型株の中でも超大型株30銘柄で構成された株価指数です。
東証規模別株価指数で大型株に分類されるのは、TOPIX銘柄のうち、時価総額と流動性が高い上位100銘柄です。中型株は、大型株100銘柄の次に時価総額と流動性が高い400銘柄です。小型株は、大型株、中型株以外の全銘柄が該当します。
現在(2024年7月25日)のTOPIX Core30の構成銘柄が図表2です。
製造業を代表するトヨタ自動車や日立製作所。金融では三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンク。半導体関連では、東京エレクトロン、信越化学。ウォーレン・バフェットが投資したことで注目された商社では、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事。それ以外の銘柄も、それぞれの業種を代表する企業です。
コード | 企業名 | 業種 |
---|---|---|
3382 | セブン&アイ・ホールディングス | 商業 |
4063 | 信越化学工業 | 化学 |
4502 | 武田薬品工業 | 化学 |
4503 | アステラス製薬 | 化学 |
4568 | 第一三共 | 化学 |
6098 | リクルートホールディングス | サービス |
6273 | SMC | 機械 |
6367 | ダイキン工業 | 機械 |
6501 | 日立製作所 | 電気機器 |
6594 | ニデック | 電気機器 |
6758 | ソニーグループ | 電気機器 |
6861 | キーエンス | 電気機器 |
6954 | ファナック | 電気機器 |
6981 | 村田製作所 | 電気機器 |
8035 | 東京エレクトロン | 電気機器 |
7203 | トヨタ自動車 | 輸送用機器 |
7267 | ホンダ | 輸送用機器 |
7741 | HOYA | 精密機械 |
7974 | 任天堂 | その他製造 |
8001 | 伊藤忠商事 | 商業 |
8031 | 三井物産 | 商業 |
8058 | 三菱商事 | 商業 |
8306 | 三菱UFJフィナンシャルグループ | 金融・保険 |
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 金融・保険 |
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 金融・保険 |
8766 | 東京海上ホールディングス | 金融・保険 |
9432 | NTT | 情報・通信 |
9433 | KDDI | 情報・通信 |
9434 | ソフトバンク | 情報・通信 |
9984 | ソフトバンクグループ | 情報・通信 |
また、業種ごとの銘柄数にばらつきはありますが、図表3のように10業種に分散されています。
TOPIXや日経平均株価指数に比べ、構成銘柄数は少ないですが、業種による分散効果は高いといえるでしょう。
業種 | 銘柄数 |
---|---|
化学 | 4 |
サービス | 1 |
機械 | 2 |
電気機器 | 7 |
輸送用機器 | 2 |
精密機器 | 1 |
その他製造 | 1 |
商業 | 4 |
金融・保険 | 4 |
情報・通信 | 4 |
TOPIX Core30の銘柄の選定基準は?
TOPIX Core30の30銘柄の選定は、以下の2段階で行われます。また、毎年1回(10月)に銘柄の見直し・入替が行われます。
1段階目
1段階目では15銘柄を選定します。
選定基準は、直近3年間の売買代金(東京証券取引所の立会取引における売買代金)の合計額の順位がTOPIXの対象銘柄の中で90位以内の銘柄を算出し、その中で時価総額の大きい順に15銘柄を選定します。
2段階目
2段階目は残り15銘柄の選定になります。
定期入替基準日のCore30銘柄の中で、直近3年間の売買代金合計額の順位が90位以内かつ時価総額順位が40位以内の銘柄の中から、時価総額が大きい順に15銘柄になるまで選定します。
なお、15銘柄に不足する場合は、TOPIX採用銘柄の中から直近3年間の売買代金合計額の順位が90位以内の銘柄の中から、時価総額の大きい順に15銘柄になるまで選定していきます。
定期入替基準日は、毎年8月最終営業日です。追加する銘柄、除外する銘柄のリストは10月第5営業日に公表されます。定期入替後の値の算出は10月最終営業日からとなります。
定期的な見直しにより、Core30では、売買が活発に行われている流動性の高い超大型株が採用されることになります。
(選定基準の参考資料:JPX総研「東証指数算出要領」2024年3月4日版)
TOPIX Core30の過去5年間のパフォーマンスは?
TOPIX Core30の算出開始(基準日)は、1998年4月1日です。基準値は1,000です。
現在(2024年7月26日)の値は、1413.71です。
過去5年間のCore30とTOPIXの推移は下のグラフの通りです。流動性の高い超大型株で構成されたTOPIX Core30が、TOPIXを上回って推移しました。
まとめ
この記事では、TOPIX Core30の概要や構成銘柄、銘柄の選定基準、過去5年間のパフォーマンスについて見てきました。
TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価(日経225)を構成銘柄数が多いと思われている方は、超大型株30銘柄に絞ったTOPIX Core30を投資対象として検討してみてはいかがでしょうか。
TOPIX Core30には、指数に連動するインデックス型の投資信託やETFを通じて投資できます。その中には、NISAの成長投資枠を使って投資が可能なファンドもあります。