長期投資を行う際、すべての期間で利益をあげることは困難でしょう。そのため、部分的に損失が出ることを前提にした対策が必要です。株式などを損失が出たまま長期間動かさないことを、投資用語で「塩漬け」と呼びます。優れた投資家ほど「塩漬け」状態にならないように気を付けています。本記事では、塩漬けと損切りについて解説します。

  • 株式の長期投資は「ほったらかし」は禁物。環境変化に応じた柔軟な運用が大切
  • 失敗を認めたくない心理に負けずに、上がる見込みがない銘柄は損切りする
  • 予測が外れたら一度損切り。分散投資や投資信託の活用も長期投資の有効な手段

長期投資とは「買ったらほったらかし」ではない

資産運用の基本は長期投資です。株式投資の場合、長期的に安定した配当を期待できる銘柄であれば、長期間保有することで定期収入を得ることが可能です。さらに、成長が期待できる企業であれば、長期間保有することで株価の上昇も期待できます。

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しかし、期待して購入した銘柄が必ずしも期待通りの配当が出たり、値上がりしたりするとは限りません。株を購入した後も、さまざまな環境変化によって減配や値下がりもありえます。そのため、株は一度買ったら終わりではなく、状況に応じて柔軟な運用を行うことが重要です。

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外部環境の悪化や思わぬライバルの出現によって、最悪の場合、企業が倒産してしまうこともあるでしょう。株の長期投資は「ほったらかし」は禁物です。買った銘柄が値下がりして、「塩漬け」にしないように、日々のニュースや環境の変化はチェックしておく必要があります。

野菜の塩漬け
株式の「塩漬け」は禁物。買ったあとも値動きや市場環境の変化をチェックし続けることが大切

塩漬けの裏にある「失敗を認めたくない」という心理

購入した株が値下がりした際に、なかなか損切りができないという方がいます。塩漬けにしてしまう理由の一つが「失敗を認めたくない」という心理です。

失敗を認めたくないという心理は、株を購入する際に、詳細な分析を実施して自信があったときによく現れます。「しっかり分析を行っているので間違えるはずがない」と思いたくなるのでしょう。

また、失敗を認めたくないと感じるときには、別の理由を持ち出して大義名分を得ようとすることも多いようです。「まだこの企業を応援したい」「一時的な値下がりのはず」といった根拠のない理由をつけて、損切りを避けようとしてしまいます。

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失敗を認めるのは難しいことですが、値上がりの見込みがない銘柄は早く手放して、次の銘柄に買い替えるべきです。「失敗を認めたくない」という心理から冷静な判断ができなくなり、株が塩漬けになることを避ける必要があります。

処分する
「見込みがない」と思ったら、より良いものに買い替える決断も必要

「もったいない」という心理が働くことも

塩漬けをしてしまう心理には「もったいない」という心理も働きます。投資家は投資をする際に、銘柄の分析をするために少なからぬ労力を費やします。もちろん、投資用の十分な資金を用意する必要もあります。

そのため、労力や資金を投じたにもかかわらず、損のまま終わってしまうと「もったいない」と感じてしまい、冷静な判断ができなくなることがあります。回収できる見込みがないコストを「サンクコスト」と呼びますが、サンクコストはなるべく小さくすること、つまり早めの損切りで塩漬けを避けることが大切です。

自分が投資した株式が値上がりするかどうかは、どれだけ時間をかけて分析したか、どれだけのお金を投資したかには関係ありません。しかし、労力や資金のコストに対して「もったいない」という感情が生まれることで、冷静な判断ができなくなることはよくあります。ゼロベースでの投資判断をこころがけましょう。

長期投資は損切りが大切。投資信託の活用も考える

株式を中心にした資産運用では、短期間の売買だけでは安定して利益を得ることは難しいため、長期投資は非常に重要です。

しかし、どれだけ詳細に銘柄を分析しても予測が必ず当たるとは限りません。その理由は、株価がさまざまな要因からの影響を受けるためです。例えば、2020年の新型コロナウイルスは株価市場を大きく変動させました。しかし、2019年以前にここまで大規模なパンデミックが2020年に発生することを予測できた人はいないでしょう。このように、あらゆる外部環境の変化によって、企業がおかれる状況は劇的に変化していくのです。

予想
どんなに深く分析しても、予測が大きく外れてしまうこともある

そのため、長期投資を基本戦略においていたとしても、予測が外れて長期的に下落するトレンドになると判断する場合は、一度損切りすることも必要になります。

投資をするうえで、長期投資と同じくらい大切なことが「分散投資」です。分散投資をすれば、ひとつの銘柄の選定に失敗したとしても、他の銘柄でカバーができます。どれだけ詳細な分析を行ったとしても、必ず勝つことはできません。1戦必勝を目指すよりも、全体で勝ち越しができるように分散投資するほうが、利益を出せる確率は高いでしょう。

個別に銘柄を選定することが難しい方は、投資信託の購入も検討するべきです。投資信託はあらゆる銘柄に分散投資する仕組みで、ファンドマネジャーが適宜銘柄の入れ替えを行うか、株価指数などに連動するように作られています。購入時や保有期間中に手数料がかかりますが、個別銘柄への投資に失敗して塩漬けになるのを避けたい方にはおすすめです。

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