最近「もっとお金があればなあ…」とふとしたときにしみじみ思います。
たとえば、家でNetflixのリアリティ番組を見ていて、けた違いの海外セレブの生活が垣間見えたとき。(1年にたった1回のクリスマスパーティーにかける予算が5000億円!)

ありきたりですが、「1億でいいから、くれないかな……。やっぱり100億。いや、1000億ぐらいもらっても罰はあたらないだろう……」なんて、絶対に起こらないことを考えてしまいます。

別にいまの生活にとくに不満があるわけではありません。
そんな一攫千金の夢物語を妄想するのはバカバカしく、時間が無駄なのは百も承知です。
ですが、そんなときに「お金よりもっと大事なものはあるよ」とか「生きてるだけで丸儲け」とか「堅実にコツコツと貯蓄&投資しよう」とか、あまりにも正論を言われても、まったく頭に入りません……。

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そういうときは、お金にまつわる音楽でも聴いて、成金的な気分に思い切りひたってみるのはいかがでしょうか。

以下、ジャンルや時代、地域を全部無視して、私が勝手に選んだ成金的3曲を紹介していきます。

① Billionaire ft. Bruno Mars(ビリオネア フィーチャリング ブルーノ・マーズ)

アーティスト:Travie McCoy(トラヴィー・マッコイ)
レーベル:Decaydance / Fueled By Ramen

<楽曲情報>
2010年にリリースされ、ビルボードチャートでは最高4位を獲得。
“ストリートのカリスマ”として評される、ニューヨーク発のラップ・ロックバンド「ジム・クラス・ヒーローズ」のフロントマン、トラヴィー・マッコイによる注目のソロ作。

<成金度:☆☆> ※成金度は筆者の判断で5段階評価
曲中に何度も繰り返される「I wanna be a billionaire so fucking bad」(訳:俺はめちゃくちゃ億万長者になりたい)というストレートな欲望丸出しのフレーズが特徴的。
「もしも超リッチなセレブになったら…」という妄想が、これでもかと詰め込まれています。
たとえば、フォーブス誌の表紙を飾ったり、大統領とバスケするほどの仲になったり、世界中を飛び回って毎晩違う大都市で遊んだり……。

しかし、一見、「バブル的なノリ」をヒシヒシと感じますが、成金的な欲望と同時にこんな願いも歌っています。

・ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー元夫妻に負けないぐらい、たくさんの恵まれない子どもたちを養子にする
・アメリカで大規模な被害をもたらしたハリケーン・カトリーナの被災地に行って、復興支援をする
・みんなに何ドルずつかを分けて、この不景気を何とかする(大胆な経済政策!)

最後までよく聴いてみると、楽曲への見方が少し変わりました。
アメリカに深く根差した寄付文化や、ボランティア精神に対して深く感銘を受けたのはもちろんのこと。
それだけでなく、漠然と「何かいいことをしようぜ」と叫ぶのではなく、「何に使って、どんなことがしたいのか」と具体的な使い道を明示している点にも感心しました。

制作を手掛けるトラヴィー・マッコイ氏は、「歌詞では自分がどれだけ金持ちかを言うんじゃなくて、リスナーに『もし1,000万ドルあったらどうする?』って語りかけているつもり」とインタビューで話します。

みなさんも、この曲を聴いて「何となくお金がたくさんあればなあ」といういつもの妄想から一歩踏み出して、具体的に何が欲しいのか/何をしたいのかまで考えてみてはいかがでしょうか。
きっと、貯蓄・投資の目的が再確認でき、意欲が湧いてくるでしょう。

② Glamourous ft. Ludacris (グラマラス フィーチャリング リュダクリス)

アーティスト:Fergie(ファーギー)
レーベル:Will I Am / Fergie LP1

<楽曲情報>
ヒップホップグループ「ブラック・アイド・ピーズ」の紅一点、ファーギーのソロ名義の楽曲で、2007年にリリース。
ビルボードチャートでは2週連続1位を獲得。

<成金度:☆☆☆☆☆>
サビの中で、曲名にも冠する「グラマラス」を“G-L-A-M-O-U-R-O-U-S”と一音ずつ、発音しているのが印象的。
ついつい間違えがちなスペルの勉強にもなります。

曲の出だしから「稼げないなら田舎に帰れ!」と連呼され、思わず“すみません……”と言いたくなってしまう心境になりました。
さらに「飛行機はファーストクラスで、高いシャンパンを空けて……」と続き、“贅沢”と聞いて誰もが一瞬思い浮かべるような映像が目に浮かびます。
(カラオケのイメージ映像でありそうです)
そして、Glamourous Life(訳:キラキラした暮らし)と重ねてコール。

しかし、聴き進めると、ここまで成り上がるにもさまざまな苦労があったことがわかります。
曲の後半には「関係者は冷たい」「馬鹿みたいな悪口や、知りたくもないようないことを言ってくる人がたくさん」などの心境が吐露され、思わず同情してしまいました。
「成功して本当によかったね」と勝手に親になったよう気分で涙が出そうです。

さらに、意外にも慎ましい私生活も明らかになります。
「いまでもドライブスルーでタコベル(※)に行く」「家族とのんびりするのが最高」「金やダイヤの指輪をつけても何の意味もない」
オンとオフがはっきりしているのでしょうか。現実的で地に足がついている印象です。
そして、最後は「ファンに感謝!」と叫びます。
セレブらしい生活を楽しみつつ、調子に乗り切らない姿勢には頭が下がります。

たとえ億万長者だとしても、バランスのとれたマネー生活を送っているようです。
私自身、ついつい過度な浪費や節約に偏ってしまいがちですが、ほどよい“バランス”を意識して、私らしい暮らしをしたいものです。

※アメリカの大手ファーストフード店。タコスやブリトーをメインに、庶民的な価格で提供しています。
日本では、東京・渋谷の道玄坂にわりと大きな店舗があります。

③ MONEY

アーティスト:浜田省吾
レーベル:SME Records Inc.

<楽曲情報>
1984年にリリース。ファンからの人気も高く、言わずと知れた浜田省吾の代表曲の一つ。
当時の社会背景を色濃く映し、お金へのストレートな欲望があらわれているのが特徴。

<成金度:☆☆☆>
随所に繰り返されるフレーズ「いつかあいつの足元に BIG MONEY 叩きつけてやる」が、この曲のテーマともいえるでしょう。

まだ成功していないからこそのお金に対する強い執着や、成り上がり根性をヒシヒシと感じます。
前に紹介した2曲は、どこかカラっとした明るさを感じさせますが、この曲は「見返してやりたい」というコンプレックスや鬱屈した何かを感じます。

実際に大金を手にしたら何をするつもりなのでしょうか。
曲の後半には、「純白のメルセデス」「プール付のマンション」「ドン・ぺリニヨン(通称:ドンペリ)」とあらゆる富の象徴が並びます。

この現代で同じセリフを吐くのは少しこっぱずかしい気もしますが、当時は1984年、バブル前夜の経済成長期。
頑張って稼いでこれらを所有することは、一種のステータスだったのかもしれません。

しかし、ファンからも愛される代表曲と言われるだけあって、単に「贅沢三昧するぞ」という軽い曲ではありません。
曲の前半には、なぜお金に執着するようになったのか、生い立ちから詳しい背景が描写されています。
出身はおそらく田舎町。
高校を出た若者はみな都会へ出ていくため、どこか閉塞感が漂っています。
さびれた商店街には、いまにも潰れそうなバーや映画館が立ち並び、閑散とした様子。
さらに、付き合っていた女性には、お金持ちの男性へ乗り換えられ、なんと2人とも駆け落ちして街から出ていってしまいました。
極めつけには、「何もかもみんな爆破したい」とやるせなさを叫びます。
一本の映画を見たような、熱量を感じます。

景気がうなぎのぼりだったバブル時代と違って、不況が続く現代では、ここまでの反骨心は持ちづらいでしょう。
インターネットやSNSの普及で、田舎でもそこまで不便を感じない世の中になりました。
そんな今だからこそ、この曲を聴いて、当時の時代背景を懐かしんだり、10代のギラギラしたお金への渇望を疑似体験してみたりするのはいかがでしょうか。

ちなみに、この曲を調べているうちに初めて知ったのですが、浜田省吾さんは広島県出身で、(どうでもいい情報かもしれませんが)なんと私と同じです!
モデルとされた商店街に足を運んだこともあるので、今度帰省したときにはこの曲を聞きながら通りを歩いてみようかなと目論んでいます。

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