音楽業界の主役はCDから音楽配信サービスへ

日本レコード協会の発表によると、2018年の国内の音楽市場規模は、前年比5%プラスの約3048億円と、2015年以来3年ぶりに前年実績を上回る結果となっています。そんな、いまの音楽業界をけん引しているのが、急速に売上を伸ばす音楽配信サービスです。

2013年頃に始まった音楽配信サービスは、当初パソコンやスマートフォンに楽曲データをダウンロードしてから聴く方法が主流でしたが、ストリーミング(音楽データを受信しながら再生する方法)による音楽配信サービスが登場すると、利用者はいっきに拡大しました。購入した音楽データを音楽プレイヤーやスマートフォンに保存してから聴く方法とは異なり、配信による音楽視聴は視聴機器の容量を取りません。また、“何曲聴いても定額”というお得感が、多くの人の支持を集めている理由と考えられます。

ストリーミング
パソコンやスマートフォンなどを介して楽曲を聴く音楽配信サービスの市場は、現在も拡大を続けている

音楽ソフトの売上を媒体別に見ていくと、ストリーミングが前年比約32%プラスの約348億6600万円、ダウンロードは前年比約5%マイナスの約256億3900万円となっており、この1年でストリーミングがダウンロードの売上を上回っています。

こうした音楽配信サービスの普及の裏で、売上を落としているのがフィジカル(物理的)の媒体です。例えば、2018年のCD(アルバム・シングル合計)の売上は、前年比マイナス10%の約1542億円です。2009年の約2459億7100万円から見ると、CDはこの10年で4割程度市場規模が小さくなっています。

フィジカル媒体の最後の砦はアナログディスク

一方、売上を伸ばし続けているフィジカルの媒体もあります。それが、アナログディスク(レコード)です。2018年のアナログディスクの売上は、前年比8%プラスの20億7700万円。2009年の1億9000万円から10年間で10.9倍の規模に成長しています。

レコードプレイヤー
アナログディスクは直径30cmとCDよりはるかに大きい。大きな黒い円盤がぐるぐる回り、その盤面を針がなぞることで音が出る仕組みは、CDの普及後に生まれた世代にとっては新鮮かもしれない

私の周りにもアナログディスクが好きな人がいて、その理由を次のように語っていました。

「レコードを部屋に飾りたいから」(25歳・女性)
「データやCDで聴くより、アナログディスクは音質に温かみが感じられる」(33歳・男性)
「レコードプレイヤーに盤をセットして針を落とす。音楽を聴くだけですが、手間のかかる作業を加えると愛着を持てるようになります」(27歳・男性)

いまなお、アナログディスクが支持される理由はさまざまですが、アナログディスクを志向する人に共通しているのは、「目で楽しむ」や「手間を楽しむ」など、「耳で楽しむ」だけではない価値を音楽に見出している点です。音楽を耳だけで楽しみたい人は音楽配信サービスを利用し、それ以外の付加価値を音楽に求める人は、アナログディスクを購入する傾向があるのではないでしょうか。

電子書籍が普及する時代に、文庫本ではなくハードカバーの単行本を好む人なら、おそらく、この気持ちを理解できると思います。

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