宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回も前回に引き続き、加入したばかりのiDeCoに関して資産運用の初心者が抱く疑問をもとに、iDeCoの資産配分をどう決めれば良いかを考えていきます。

  • iDeCoで最初に決めるのは資産配分。運用期間や投資経験などをもとに決める
  • 人類の進歩と経済の発展を信じて、目安からワンランク上のリスクにチャレンジ
  • iDeCoの運用商品は5種類以内。資産配分の変更やスイッチングも大切

投資経験などをもとに適切な資産配分を確認

【質問】
職場でiDeCoの説明会があったっちゃが。自分は今年に入ってから、別の金融機関でiDeCo加入済みで関係ないと思っていたら、知人は「何いっちょると? コロナもあったから、やり替えた方がいいよ! 損しちょるよ! 早めに運用会社変えね!」と言われています。そもそも、コロナの影響でiDeCoは損してるんですか? 運用会社で損をすることもあるのですか?

前回に引き続き、個人型確定拠出年金(iDeCo)に関する質問にお答えしていきます。

ラッセル・インベストメントCouple

最初に言っておきますが、iDeCoは「自分が生き抜くため」の、意味がある積立です。面倒と思わずに、歳を重ねるごとに老後の蓄えが増えていく楽しみと、老後も自立した生活をするという社会責任の視点を長い目で持ち、積立を続けていきましょう。先の結果がすべてなのです。ぜひとも、年金積立の成功者になってください。そして、年金の受給が始まる60歳~65歳時に助かった!良かった!となってください。(その頃には、制度変更でiDeCoの受給開始年齢が引き上げられているかもしれませんが……)

さて今回は、「自己責任で運用商品を選ぶ」を実践していただけるよう、iDeCoの運用商品を自身で判断していく工程について話をしていきます。

職場の説明会は、どちらかと言うと、事務的な手続きに重点を置いたものが多くなる傾向にあります。本来は運用商品についての説明会も別途開催すべきでしょうが、iDeCoで老後資金を積立する方は、年齢も考え方もバラバラなのは当たり前のこと。ましてや、投資信託のような元本確保型ではない運用商品に投資するのは自己責任なので、職場としては他人の責任まで背負いたくないのが実情でしょう。今は新型コロナウイルスの影響で、株価が乱高下する経済状況の中ですからなおさらですね。
それでも、最後はやっぱり自分で考えて選ぶしかないのです。

ここからは、初めてのiDeCoに立ち向かう商品選びのコツを、「私だったらこうする」ということで解説していきます。

運用商品を選ぶのに最初のステップとして、資産をどのように振り分けるかを考えます。
確定拠出年金を専門に扱うある証券会社では、新規の加入者に対して「資産配分チェックシート」を配っています。いくつかの質問に答えることで、資産をどのように振り分けて運用すれば良いか、自分の運用の考え方を見つける目安にするものです。
ほかの金融機関でも同じような仕組みがあり、一定の基準に沿って加入者の資産配分を決めていきます。

チェック項目の例
・年齢、退職までの年数
・現在および未来の収入状況
・株式、投資信託などの投資の経験
・運用のリスクに対する考え方(収益重視/安定性重視)
・iDeCo以外の老後資金の準備
・積み立てた資産の使い道

先ほどの証券会社の例に戻ると、チェックシートの回答結果によって、積極型(株式比率90%)、成長型(株式比率70%~50%)、安定型(株式比率30%~10%)、元本確保型の4つのうち、どれが自分に当てはまるのかがわかります。株式比率が高いほど投資のリスクが大きい、つまり値動きが大きくなり、低いほどリスクは小さくなります。投資未経験者は、大半の方が安定型と元本確定型に当てはまるでしょう。

ここで最初のポイントです。資産配分の目安が出たら、目安からワンランク上の投資型で商品を選ぶことをおすすめします。
なぜなら、歴史をひもとけば、私たち人類は過去のさまざまな困難を克服し、発展を続けてきたからです。たとえば、今は全世界が新型コロナウイルスに立ち向かっている状況ですが、製薬会社はワクチン開発でしのぎを削り、ビジネスの現場ではリモートワークを進化させるなど、この困難な状況でも人類の発展は日進月歩です。ほかにも、さまざまな分野で技術革新は加速しています。けっして後ろ向きになることはありません。
日銀は国内市場を安定させるため、ETFを通じて株式を購入していますが、今はどうやら日銀の介入なしで市場が安定できる状況にまできているようです。楽観視はいけませんが、日本の株式市場が活況なことはいい材料だと思います。ここはリターンを目指して、iDeCoは株式比率がワンランク上のリスクにチャレンジしてみましょう。

前号で元本確保型商品のデメリットを話しましたが元本確保型100%はぜひとも避けてください。

月に一度、iDeCoの中身を確認する習慣をつける

通常の投資信託とは異なるiDeCoのメリットとして、

①必要に応じて、購入する商品や配分を変更することができる
②現在保有している商品を売却し、他の商品を購入するスイッチング(商品の預け替え)ができる

という点が挙げられます。

例えば、新型コロナウイルスが発生する前に運用していた、株式メインの運用商品Ⓐが値上がりして利益が出ているので、売却して元本を増やし、債券メインの運用商品Ⓑを購入して株の下落に備える、ということもできます。

商品選び
運用したい商品にいつでも乗り換えられるのがiDeCoのメリット

今20代で、年金を受け取るまで40年近く運用期間がある方でしたら、日本株中心のアクティブ型投資信託40%、外国株中心の投資信託20%、債券型の投資信託20%、元本確保型20%の資産配分でスタートとするのもいいでしょう。運用期間が長ければ、それだけリスクを大きくできます。
ただ、運用商品は多くても5種類内にすべきだと思います。商品を多くしても、同類の商品が増えて管理が複雑になるだけです。国内株、外国株、債券、元本確保型が1つずつあれば十分でしょう。

そして運用が始まったら、①と②の手法を使います。経済状況の変化に応じてiDeCoの資産の中身を見直し、資産配分の変更、スイッチングを行います。ただ、適切なスイッチングをするためには、iDeCoを扱う金融機関のホームページで運用資産の情報を確認する必要がありますし、運用商品の特性を理解できていることも必要です。やるべきことが山積していますが、運用の世界に足を踏み入れたのですから、月に一度程度は、自分のiDeCoがどうなっているのか確認することを習慣にしましょう。

そして、iDeCoの運用は、自分なりの「コツ」を覚えることが大切な一歩です。通常の投資信託でしたら、「ほったらかして、じっくり増やしましょう」と言えるのですが、iDeCoは基本、解約ができません。ほったらかしが最良の結果を生むとは言えないのです。

運用中の資産配分の変更とスイッチングは、いくつかの投資信託などを組み合わせて運用するiDeCoからこそできることで、1つの商品ではできることではありません。このiDeCoならではのメリットをうまく利用して、長い目で運用することをおすすめいたします。

(次回は12月18日を予定しています)

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