少子化により年金が減る現実や「老後2000万円問題」が話題になり、コロナ禍の中で投資を始める人が、特に若い世代で増加中です。本記事では、若い人が投資を始めている理由やきっかけ、投資のリスクと、実際に投資を始める際にはどのようなことに注意すべきかを解説していきます。

「老後2000万円問題」やコロナ禍がきっかけ

近年「人生100年時代」といわれるように日本人の平均寿命が延びている一方で、少子化により将来受け取れる年金が減るという不安が若い世代の間で高まっています。「老後2000万円問題」が話題になったことに加え、最近はコロナ禍もあって、老後だけでなく目先の生活に備える大切さを痛感した人は非常に多いでしょう。

そんな社会情勢にある今、資産形成に興味・関心を持ち、実際に投資を始める若い人が増加しています。その中でも特に近年、利用者が著しく増加しているのが「NISA」です。NISAは、株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が一定の範囲内で非課税になる制度で、2014年に導入されました。さらに2018年には、NISAの積立投資版として「つみたてNISA」がスタートしました。

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コロナの感染が世界で広まり始めた2020年春には、世界中で経済指標が悪化し、株式市場では一時的に大暴落が発生しました。しかしその後は、飲食業や観光業をはじめとして実体経済が大きなダメージを被っているにも関わらず、株式市場は回復に向かい、多くの銘柄で株価が上昇していったのです。

特にアメリカの株式市場では、株価が史上最高値を更新するほどの力強い上昇を示しました。その影響もあって、コロナ禍が続く中でも投資を始めた人が非常に増加しました。

実際、日本証券業協会の「NISA口座開設・利用状況調査(2021年9月30日現在)」によると、2020年以降は、特に20~30代のNISA・つみたてNISAの口座数が急増しています。

【図表】年代別NISA(一般・つみたて)口座数の推移
年代別NISA(一般・つみたて)口座数の推移
出所:日本証券業協会日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査(2021年9月30日現在)について」

2010年代前半と比べて投資を始める人が増えた理由には、NISAやつみたてNISAができたことに加えて、スマホやSNSの普及によって経済情報・金融情報にアクセスしやすくなったことも考えられるでしょう。また、株式投資や資産運用に関する情報を発信するメディアが増えて、投資初心者が参考にしたり勉強したりできるネット情報が増えたことも考えられます。

米国株式のインデックスファンドが人気

最近はNISAやつみたてNISA、個人向け年金制度のiDeCoなど非課税投資制度が充実しているため、資産形成をするための投資を始めやすい環境が整ってきました。各金融機関だけでなく、個人がSNSやブログで「NISAの始め方」などを解説している場合もあり、分からない点は気軽にネットで検索できるようになっています。

最近投資を始めた若い世代の方は、堅実にお金を増やしていきたいと考えているようで、つみたてNISAの対象にもなっている米国株式のインデックスファンドが特に人気のようです。

米国株式市場はグローバル企業が多く、国内株式と比べると株価が成長を続けてきた銘柄や、配当金額を増額(増配)し続けてきた銘柄が多いという魅力があります。さらに日本のような単元株制度がなく、1株から株を購入できるため、最低取引単位が比較的低くなる点も強みです。

これらの理由から米国株投資は人気があり、その中でも投資初心者の方や、より堅実に投資をしたいという方からは、米国株式のインデックスファンドが好まれています。

米国株式のインデックスファンドは、「S&P500」のような株価指数のパフォーマンスと値動きが同じになるように運用されるものです。米国のS&P500は、近年では日本の代表的な株式指数である「日経平均株価」よりも高いパフォーマンスを示してきました。

【図表2】S&P500と日経平均株価の比較
S&P500と日経平均株価の比較
※期間は2010年1月~2022年3月24日。週足、終値

また、インデックスファンドは信託報酬などの手数料が比較的安いため、長期的に持ち続ける場合は、アクティブ型の投資信託と比べて運用コストを抑えることが可能です。着実な利益を期待したいという人に、米国株式のインデックスファンドは多く利用されています。

ただし、投資初心者やこれから投資を始めようとしている人は、投資のリスクについても把握しておく必要があります。

下落局面への備えも必要

米国株式は今後も高い成長力を期待できると考えて、若い方がこれから投資をするにあたって、米国株やS&P500のインデックスファンドを保有したいと考えているケースが多いかもしれません。しかし、どんなに成長性の高い金融商品であろうと、投資は「元本保証」されるものではありません。

株式市場が世界的な不景気に見舞われると、株式の資産価値は大きく下がります。好景気が今後も続くとは限らないため、いつかは来るであろう下落局面への備えが欠かせません。

株式の下落局面に備えるには、投資の王道である長期・積立・分散の3つのポイントを意識して投資することがおすすめです。

集中投資vs分散投資。最終的に勝つのはどっちだ?

リーマン・ショックやコロナショックのような経済不況は、定期的なサイクルで発生するともいわれ、そのようなタイミングには株価が暴落してきました。しかし、株価が暴落したタイミングは、安い価格で購入できるチャンスでもあります。そのため、投資をする場合はあくまでも資産の一部で行い、常に追加入金できる状態にしておくと臨機応変に対応できるでしょう。

株価が下がる局面では、債券にも分散投資することでリスクを分散することが可能です。債券は株式と反対の値動きを示す傾向があるため、株式の値下がりを、債券の値上がりで一定程度相殺する効果が期待できます。

若い世代で投資への興味・関心が高まっていて、実際に資産形成を始めている人も増えています。だからといって、まだ何も始めていない方が焦る必要はありません。まずは投資の仕組みやリスクを理解して、堅実に、コツコツと長期投資ができるように、少しずつ投資に慣れていきましょう。

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