値動きの安定した投資を実践するには、分散投資を心掛けることが重要です。分散投資の中でも「資産」分散の重要性はずいぶん浸透し、すでに実践している方も多いでしょう。しかし、「時間」の分散を意識している人は意外と少ないかもしれません。今回は投資において時間を分散することの意義や、具体的な方法について解説します。

  • 安定的な資産形成には「資産」だけでなく、「時間」の分散も有効
  • 投資のタイミングを分散すれば、高値で一度に買ってしまうリスクを避けられる
  • 時間分散は、つみたてNISAやiDeCoを活用するのが効率的

時間の分散とは?

安定的に資産形成をするためには、分散投資を徹底することが肝心です。「複数の卵を1つのカゴに入れるな」という相場の格言が示すとおり、複数の資産に分散して投資することで、ある資産が下落してもそれ以外の資産の上昇で損失を補うことができる可能性があります。その結果、値動きの安定した資産形成が実現しやすくなるというわけです。

分散投資の第一歩は「資産」の分散から

この資産分散以外にも、分散投資にはいくつかの切り口があります。そのうちの一つが「時間の分散」です。時間の分散とは、投資するタイミングを一度ではなく、複数回に分散させることです。それにどのような効果や意義があるのか考えていきましょう。

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時間分散の意義その1:一度に高値で買ってしまうリスクを避ける

時間分散の意義の1つめは、一度に高値で買ってしまうリスクを避けることにあります。

投資をするうえでは、タイミングは非常に重要な要素といえます。どんなに優良な銘柄であっても、適正価格以上に株価が高い時に投資しても、そこからさらなる収益を期待するのは難しいかもしれません。

投資において最高のシナリオといえるのは、底値で買って、高値で売ること。しかし、いまが底値、もしくは高値であるかどうかは誰にもわかりません。それは将来、振り返って初めてわかることなのです。

タイミングを分散して投資することで、少なくとも一度に高値で投資してしまうリスクは避けられます。しかも投資資金に余力を残しておけば、今後訪れるかもしれない「安く買えるチャンス」を逃さずに投資できます。。

たとえば毎月一定額を投資していく積立投資を実践すれば、価格が下落している局面ではたくさん、下落局面では少なく口数を買うことができます。結果として平均購入単価を下げる効果が期待できます。これをドルコスト平均法と呼び、多くの投資家が実践している手法です。

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時間分散の意義その2:まとまったお金がなくても少額から始められる

時間分散の意義の2つめは、まとまったお金がなくても投資を始められる点です。

投資は元本が大きければ大きいほど、値上がりした時のリターンが大きくなります。「投資はお金に余裕のある人がやるもの」「投資を始めるのはお金を貯めてから」と考えている人もいるかもしれません。しかし、積立投資のように毎月一定額を投資するような手法であれば、必ずしもまとまったお金が必要なわけではありません。毎月少しずつの積み立てでも長期間投資を継続することで、大きな資産を作っていける可能性があります。少額でもいいのでまずは始めることが肝心です。

小さく始めるイメージ
タイミングを分散すれば、まとまったお金がなくても投資を始められる

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時間分散の方法

投資の時間分散を実践する方法は、大きく分けて2つあります。

1つめは自分でタイミングを見ながら投資をする方法です。投資している資産が下落した局面で追加投資をしたらどうでしょう。自分の中で「何%下落したら投資をする」など、ルールを決めておいてもいいかもしれません。

値動きを見ながら自分の判断で投資していれば、高値の時には購入しないことも、下落局面で多めに購入することもできます。しかし、値動きを常に見ておく必要があるのが難点といえるかもしれません。

もう1つの方法は、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用することです。

これらは、毎月一定額を機械的に投資していく仕組みのため、ドルコスト平均法のメリットが得られるうえに、運用益が課税されない非課税メリットがあります。雪だるま式に資産が増えていく福利効果も期待できるので、長期の資産形成にはうってつけといえるでしょう。

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結局うまくいくのは、時間を味方につけてコツコツ取り組む人

資産形成は、時間をかけてコツコツ取り組むことが成功の近道といえるでしょう。短期間で大きな利益を得ようとすると、その分、大きなリスクを取る必要があり、当てが外れると大きな損失を被ることになります。

コツコツ取り組むイメージ
投資は時間をかけてコツコツ取り組むのが結局は成功への近道となる

時間を分散しながら投資をすることを心掛けていれば、相場の値動きに一喜一憂することなく、淡々と運用を継続できます。

重要なことは投資を継続することです。短期的に下落したら、投資をやめてしまうという人もいますが、途中でやめてしまうことは非常にもったいないことです。時間を分散することで、投資を継続しやすくなると思います。

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