中村真理子先生・著/園村昌弘氏・原案監修の『天智と天武 ―新説・日本書紀―』には、自分にふさわしい投資信託を考えるヒントが満載です。

<ビッグコミックスは全11巻>

いよいよ4月1日に248番目の元号が発表されますね。ある企業サイトの新元号上位予想には、「安久」「安永」「栄安」などすべて「安」の字が入っていました。誠実な政府※1のもと、心安らかな時代になってほしいとの願いの反映でしょうか。

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日本最初の元号は「大化」です。大化といえば「大化の改新」。中大兄皇子(天智天皇)と中臣鎌足が、蘇我入鹿を宮中で暗殺した日本古代史最大級の事件です。珍念は小学生の頃、「蒸し米(645年)で祝おう大化の改新」と覚えました。

中大兄と鎌足が「正義」、入鹿が「大悪人」という構図。子供向けの学習漫画でも、中大兄は端正な顔立ち、入鹿は髭モジャモジャの山賊調で描かれていました。

でも、中村先生の『天智と天武』の入鹿はイケメン。その息子という設定の大海人皇子(天武天皇)も瓜二つの超イケメンです(上記リンク先の表紙ご参照)。

さらにさらに、コミックス9巻では、大海人が着物を脱ぎながら異父兄の中大兄に「私を抱け」という衝撃のBL展開※2。「あの高校野球の強豪?」。そりゃPLね※3

サーセン<(_ _)>

そんな刺激的シーンもあり、同作品は青年誌『ビッグコミック』での連載中から話題でした。さらに読者をグイグイ引き込んだのが、その骨太なストーリーです。

ベースは、哲学者の梅原猛氏の「法隆寺は聖徳太子の怨霊を封じ込めるための寺」説。そこからもう一段ギアを上げて、「聖徳太子の正体は、中大兄と鎌足に無残に殺された入鹿」という仮説を基に進みます。さて、コレは本当に仮説なのか?

日本古代史の基礎史料の日本書紀は、大化の改新によって歴史の表舞台に突然登場した中臣(藤原)鎌足の息子の藤原不比等が中心になってまとめたものです。

藤原一族の地位の正当性を証明するには、大化の改新は、権力争いの末の単なる暗殺事件ではなく、「大悪人を倒した」歴史的快挙のほうが都合はいい。そこで筆をナメナメして事実を曲げた……可能性は、決してゼロではないでしょう。

髭モジャモジャの大悪人・入鹿は、本当は、先見性と行動力を兼ね備え、かつ超イケメンの英雄だったかもしれません。歴史には、史料第一主義による「先入観」が強すぎて、今も正当な評価を得られていない人物がたくさんいるでしょう。


棚田で知られる奈良県明日香村。大化の改新は今から1370年以上前のこの地で起きた。誰が正義で、誰が悪であったかは、見る者によって正反対になることもあるが、史料の多くは「勝者」によって書き残される

実は投資信託(投信)の世界でも、“お上”の金融庁の意向が明らかになって以降、評判と売れ行きがダウンした商品があります。「毎月分配型ファンド」です。

このファンドは名前の通り、毎月決算を行い、投資家に分配金を支払うことを目指す商品です。「年金の足しになる」などと高齢者を中心に支持を集め、2011年には、全株式投信の約7割が毎月分配型という人気ぶりでした(純資産ベース)。

その後、「A社が1口当たり80円支払うなら、ウチは100円分配する」といった投信会社間の分配競争が過熱。運用で得た利益を超える分配を行ってファンドの資産が目減りする、いわゆる「タコ足」商品が問題視されるようになりました。

加えて、金融庁が「毎月の分配金に課税されるため、再投資額が税金分減少し、複利効果を得にくくなる」(2016年8月事務局説明資料)などと指摘したこともあり、2018年には全株式投信に占める割合が4割を切る水準まで低下しました。

確かに、毎月分配型ファンドは「複利効果」が望みにくく、安定的な資産形成にはなじみにくい商品であることは否定できません(「複利効果」については、「『ドラえもん』と複利」をご参照)。

しかし、投信の役割は、国民の安定的な資産形成のみなのでしょうか。「退職世代においては、たとえ資産が目減りすることとなっても定期的に現金を得たいというニーズもあることは無視できないはず」と指摘する専門家もいます。

口座資産を定期的に取り崩して老後の生活費に充てたい――。これから高齢社会が本格化すれば、このような声が高まることも考えられます。資産形成ならぬ「資産管理」ニーズに、毎月分配型ファンドは一つの選択肢になり得るでしょう。

■こんな人は毎月分配型ファンドと相性が良い

◎分配には、自分が投資した元本の払い戻しが含まれる可能性があることは分かっている
◎資産を増やすことよりも、定期的な現金収入が欲しい
◎数十万円の口座資産を定期的に取り崩して、老後資金の足しにしたい
◎近所の銀行で購入したい(毎月分配型はほとんどの銀行で販売している)

お金のニーズは人それぞれ。金融商品に期待する役割も十人十色です。「お上の考え」が、自分にとっても正しいとは限りません。平成の次の時代では、蘇我入鹿と毎月分配型ファンドのイメージが変わっているかもしれませんね。

※1 誠実な政府
本記事を公開した2019年3月4日現在、国会では厚生労働省の統計不正問題について話し合われ、倍首相は野党から厳しい追及を受けている。

※2 BL(ボーイズラブ)
(本サイトで詳細をお伝えするのがはばかられる内容なので、気になった方は検索してください)

※3 PL
PL学園高等学校。大阪府富田林市の「パーフェクトリバティー教団」という宗教団体の敷地内にあり、同教団が実質的に運営している。PL学園の硬式野球部は長らく大阪府の強豪校として君臨し、観客席で応援団が作る「人文字」は甲子園の風物詩であった。桑田真澄(元巨人)や前田健太(元広島、現ロサンゼルス・ドジャーズ)など数多くの名選手を輩出したが、2016年夏を最後に休部となっている(2019年3月現在)。

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