未婚・独身・一人っ子のパラサイトシングルのままアラ還に突入した筆者が体験した介護経験は、まさに大後悔アドベンチャー!
12年の歳月で、父を見送り、それからまた母を見送り……ああ、今度こそ失敗なきように……と思ったら、もう介護は卒業です。次はない!
でも、回りを見ると、同じような状況に置かれ友だちが悩んでいます。
後悔した経験が、似た立場のあなたに役に立てばと、今回は、自分の終活も視野に入れた老人ホーム選びの大後悔顛末!

ずっと在宅でと思っていたら……

87歳で他界した私の父は、最後の1年間を老人ホームで過ごしました。きっかけは、85歳で転倒し、立て続けに両脚の大腿骨骨折をしたことでした。

しっかりリバビリをしたので、外出時は杖があれば、そして家の中では、手すりに捕まれば歩けるというところまで回復していたので、在宅で過ごすこともできたと思います。でも、我が家は母親も介護が必要で、しかも私が一人っ子。働きながら両親介護には限界があったのです。

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母は透析をしていて通院しなければならず、受け容れてくれるホームもありますが、父と比べて選択肢が狭くなるので、両親のどちらかをホームにということになると、父に行ってもらうしかなかったという事情がありました。

もっとも、経済的に余裕があれば、至れり尽くせりの高級老人ホームに2人で仲良く行ってもらうのが良かったのでしょうが、そんな余裕は全くなく!
父1人でも我が家の家計が破綻の危機に瀕するくらいでしたから……。

これまで書いてきたように(詳しくは、#1 #2)、父は「他人の世話には絶対ならん!」という大正生まれの頑固者でしたから、父を老人ホームに入れることも大変だと思ってましたし、夫婦で暮らす都心のマンションローンを返却しながら慎ましい年金生活を送っている両親には、たいした蓄財はなく、在宅で生活するのが身の丈に合っていたので、老人ホームに行くという選択は、元々の青写真にはなかったのです。

介護には気持ちの柔軟剤が効く!

頑固親父の大腿骨骨折顛末記

それが、どうして一転したか?
それは父が最初に大腿骨骨折で長期に入院したときに、いろいろ相談にのってもらった病院の看護師長さんのアドバイスでした。

「お父様は、お怪我はされたけど、他にお病気はないし、ずっとお元気だと思いますが、お年を召してるので娘さんがお1人で看られるのは大変だと思うので、この先は老人ホーム入居も視野に入れていろいろ検討されては?」と。

アドバイスする看護師のイメージ経験豊富な看護師さんのアドバイスが、介護の意識を変えた!

私は、それまで、老人ホームのことなど考えたことが無かったので、正直、「余計なお世話」だと思いました。父はリハビリも順調だったので、家に戻ってくればこれまで通り生活できるのではないかと。

けれども、それは甘かったのです!

両親介護には限界が!

リハビリ病院から戻ってきた父は、見かけは以前と変わりなかったのですが、認知症の症状が出だし、だんだんエスカレートしていったのです。

以前から、寝ぼけて譫妄状態になることはありましたが、退院後はそれが頻発するようになりました。また、おむつをするようになったのですが、夜間にトイレに行く回数が増え、そのたびに私は起こされ、不眠症になりました。睡魔に勝てないときは、父は仕方なく1人でトイレに行くのですが、案の定、何か失敗を起こします。

そんな中、喉が渇いたといって洗剤を飲んで大騒ぎしたり、あちこちの配線などを引っこ抜こうとしたり、壁に穴開けたり(土木系作業が得意だったので)……。
誰かが傍で看ていないと何をするかわからない状態に!

母の介護はヘルパーさんにお願いしていたので、なんとかなったのですが、たまにヘルパーさんの都合が合わずに、母の検診に付き添うこともあって、そんなある日、母と病院に行って戻ったほんの数10分の間に、父が行方不明になったことがありました。
あちこち探したら、近所のレストランに1人で行っていたのですが、お洒落をして食べに行く姿しか知らないレストランのオーナーが、ジャージの上下で髪の毛ボサボサで現れた父を見て、驚いて個室に通してくれていたからよかったものの……それが徘徊の始まりでした。

そういった騒ぎが重なると、さすがに自分1人で両親の世話は無理と思い、そのとき、看護師長さんのアドバイスを思い出したのです。

徘徊する老人のイメージ徘徊した父を見て、介護の限界を思い知った 
MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

私は考え方を変えて、そこから、老人ホームの資料を集めて、研究し始めました。
しかし、愕然としたのです。
条件の良いホームに入るには、我が家はお金がなさ過ぎ!
比較的、低料金で入れる特養(特別養護老人ホーム)は、数百人の待ち人数で、すぐには入れないこともわかり、さらに愕然としました。

両親は、私が独り者だということもあり、自宅のローンが終わったら、老後の蓄えも僅かで、年金で慎ましく生きる選択をしてましたから!
まあ、それはそれで、健康であれば何の問題も無かったのですが……。

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