医療保険は、病気やケガをした時の治療費に備えるために加入する保険です。日本は、公的な医療保険制度が充実しているため、「民間の医療保険はいらない」と考える人もいて、加入しておくべきかどうか悩む人も多いのではないでしょうか。今回は民間の医療保険の保障内容や必要性、いま人気の商品について解説します。
- 日本の公的医療保険制度は世界的に見ても極めて充実している
- しかし公的制度で保障されないケースや入院の長期化で自己負担が増えることも
- 公的保険の保障内容を把握して、必要に応じて民間の医療保険を検討したい
医療保険は何を保障するのか?
日本は国民皆保険制度となっており、公的医療保険の加入が義務付けられています。これは世界的に見ても非常に充実した医療保険制度といえるため、わざわざ民間の医療保険に加入する必要はないと考える方も多いかもしれません。もちろん貯蓄が豊富にあれば話は別ですが、そうでなければ民間の医療保険を検討することは決して無駄ではないでしょう。
というのも、公的医療保険ではカバーできない費用があります。例えば、入院時の食事代の自己負担分や差額ベッド代です。差額ベッド代とは、個室や4床以下の部屋などを希望する場合に発生する費用のこと。この金額は病院によって異なり、入院が長引いた場合、大きな負担となる可能性があります。
また、自由診療や先端医療も公的保険の保障の対象外です。
こうした公的医療保険では賄いきれない負担分を賄うために民間の医療保険は存在します。公的な医療保険制度の保障範囲を知ったうえで、不足分を民間の医療保険で備えることができれば、安心して療養に専念できます。
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医療保険の最近の傾向
医療事情の変化や医療技術の進化により、医療保険の保障内容も変化していきます。まず近年の傾向としてあげられるのが、入院の短期化です。医療技術の発達により、入院する期間が短縮しています。
下のグラフは、令和2年に厚生労働省が行った患者調査です。入院日数は年々低下傾向にあることがわかります。
日帰り入院(入院日と退院日が同一の入院)や、日帰り手術などを行う医療機関も増えてきました。そうなると、従来のような入院日数×入院給付金日額で保険金が算出されるタイプの医療保険だと、給付金がほとんどもらえない可能性もでてきます。そこで昨今では、入院日数に関わらず、日帰り入院でも一度にまとまった金額が支払われる一時金タイプの医療保険の人気が高まっているのです。
医療保険 いま人気の商品3選!
民間の医療保険は商品が乱立しており、競争が激しい分野です。そんな中で人気を集めている医療保険には具体的にどのような商品なのでしょうか。人気の医療保険の特徴を見ていきましょう。
アフラック生命『医療保険EVER Prime』
アフラックの『医療保険 EVERPrime』は、日帰り入院や長期の入院、通院など、一生備えておきたい基本的な保障が充実した医療保険です。また、先進医療や女性疾病、就労所得などの保障を追加もできるので、基本の保障に加え、自身にあった保障をカスタマイズできる点が魅力です。
- 特徴1:
- 三大疾病(がん(悪性新生物)・心疾患・脳血管疾患)による長期入院は日数無制限で保障。日帰り入院を含む10日以内の短期入院でも、一律10日分の入院給付金を受け取れ、さらに日帰り手術の場合は、手術給付金に加え、通院給付金が受け取れる。
- 特徴2:
- ライフステージの変化や、心配ごとに合わせて特約を付加することで、先進医療や女性疾病、特定の生活習慣病、就労所得などの保障を追加できる
- 特徴3:
- 所定の条件を満たした場合、3年に一度、健康祝い金を受け取れる
チューリッヒ生命『終身医療保険 プレミアムDX』
チューリッヒの『終身医療保険 プレミアムDX』は入院や手術、放射線治療を受けた場合、基準給付月額の最大120カ月分までと手厚いサポートを受けられます。また、入院前後の通院や在宅医療を受けた場合も、給付金を受けとることが可能です。女性特有の疾病にも手厚い保障があるため、女性にもおすすめの医療保険といえるでしょう。
- 特徴1:
- 最長120カ月分まで、病気や怪我による治療を受けた月ごとに給付金が受け取れる
- 特徴2:
- 月々の医療費の自己負担額を考えて、月額給付で保障されるので、公的制度との組み合わせで合理的に備えることができる
- 特徴3:
- 女性特有の疾病には、主契約に上乗せされて給付金を受け取れる
SOMPOひまわり生命『健康のお守り』
SOMPOひまわり生命の『健康のお守り』は、短期入院する方のニーズを踏まえ、日帰り入院から保障される内容になっています。新三大疾病や高血圧症の投薬治療、就労不能になった場合の保障などもオプションで付けられます。
- 特徴1:
- 加入時の保険料のまま、保障が一生涯続く。入院は日帰り入院から保障する
- 特徴2:
- 高血圧症や脂質異常症などの投薬治療にも備えられる。また新三大疾病(がん(上皮内がん含む)、心疾患、脳血管疾患)による入院を通算して無制限に保障する
- 特徴3:
- 先進医療の技術料を通算2,000万円まで保障する。七大疾病・就労不能状態になったときなどには、以後の保険料の支払いが不要になる
医療保険は本当に必要なのか?
公的医療保険には、医療費の自己負担の軽減や病気や怪我などで仕事ができなくなったときの「傷病手当金」、出産や育児をする際の「出産手当金」、「育児給付金」などがあります。
医療費の自己負担は収入などにより1~3割となっており、この他に高額療養費制度もあります。高額療養費制度とは、窓口負担が3割の方でも医療費が高額になった場合、一定額が支給される制度です。
通常、3割負担の方が医療費で100万円かかった場合、自己負担額は30万円となります。し
かし、自己負担上限額が約9万円であった場合であれば、差額の約21万円が支給されるので有効活用したいところです。
このように、日本の公的医療保険制度は非常に充実しています。ただし、先述した通り、入院が長引いてしまうと、自己負担は増えていきます。必ずしも公的医療保険制度だけで安心できるとは限りません。
コロナで増える「医療保険入っていてよかった」
最近は「医療保険に加入しておいてよかった」と考える方が増えています。その理由は、新型コロナウイルスに感染し療養する方が増えたからです。
2022年8月の第7波では、全国で1日20万人以上の感染者が出る日もあり、多くの方が療養しました。新型コロナウイルスに陽性となった場合、自宅療養でも入院給付金の対象になるため、多くの方が医療保険に入っておいてよかったと感じていたことでしょう。
とはいえ、保険会社は保険料の支払い負担が急激に増えたことで、新型コロナウイルスでの入院給付金の対象者を、①65歳以上②入院を要する③新型コロナの治療薬などを投与する必要がある④妊婦のいずれかに当たる場合のみに変更するようになりました。
医療保険が必要かどうかは考え方次第!
日本では公的医療保険が充実しているため、必ずしも民間の医療保険に加入する必要はないかもしれません。高額療養費制度を利用することで、医療費の自己負担額が青天井になることもありません。
一方で収入が減少したり、入院の長期化したりすることによって、医療費の負担が大きくなることはあり得ます。コストと保障内容をよく考えて検討する必要があるでしょう。
大切なのは、自分のライフプランにあった保険を契約することです。勧められるがままに契約するのではなく、自分にとって本当に必要な保障内容かどうか確認してから契約しましょう。
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